SI屋と顧客の未来

id:zakincoさんから、トラックバックSIerにキンタマつかまれてるユーザー企業はSIerと心中するしかないね」をいただく。

どっちにしろモラルの無いSIerに未来は無い。だけど、会社としての未来は無いと分かっていても、社員を使い捨てにして自分達の退職金だけはせしめようってお偉方が居るSIerには気をつけましょう。

利益追求を求められる会社組織としてみれば、キンタマつかんだSI屋ってのは、実は「モラルのある」行動をとってきたわけですよ。

  • 顧客からは「もっと安くしろ」といわれ
  • 株主からは「もっと利益をあげよ」といわれ

その妥協点として、「過去のソフトウェア資産を活用する」戦術が選ばれたわけ。

ところが、過去のソフトウェア資産なんていうのは実はCOBOL時代のデータ構造を引き継いだ時代遅れな代物。だんだん保守効率は低下し、ちょっとした修正でも偉く工数がかかるようになってしまう。かといって、作り変えなどもう考えられない。(おまけ:データ構造がすごく汚いという背景があるにもかかわらず、「SOAですべて解決」みたいなことを言ってるシステムコンサルタントを私は全く信用しない。)

こうなると顧客との関係はヨレがちで、政治力がものをいうようになる。そして、そういう政治力を若手に期待するのは無理があるので、中堅からお偉方が動く必要がある。そして、中堅からお偉方は...COBOL時代の残存なので、若手に飛んでくる指示もCOBOL時代と大差ないものになる、と。労働収益型で、若手が疲弊するパターンですな。

でも、このままではSI屋と顧客ともにお先真っ暗なわけで。いくつかシナリオを考えてみた。

シナリオ1 このまま何も変わらない

客が「高い〜」と愚痴り、SI屋は「がんばります〜」と掛け声だけ。コスト削減はオフショアで逃げ切りを図る。空洞化が進行し、結局シナリオ2に。

シナリオ2 顧客と共に衰退

経営の変化にシステムの変化が追いつかず、顧客の経営が悪化。握ったキンタマが腐ればSI屋も没落。

シナリオ3 ファンドによる買収+解体

エクイティファンドに顧客企業が相乗りして、SI屋をLBOで買収。買収後に、有望なシステムと部門を顧客企業に切り売り。残った(収益力のない)システムと社員は、ブランドイメージのほしいメーカー系SI屋に売却。

  • 顧客企業は借入を活用することで(レバレッジをきかせることで)手持ち資金の二倍くらいの買い物ができる→お買い得
  • エクイティファンドは売却益が得られる
  • メーカー系SI屋はブランドが得られる。引き受ける社員の給与を電気労連に合わせることで収益機会が得られる

シナリオ3は可能性があったのだけど、過剰流動性の時代は去ったようだから、もうチャンスはないかな。ということで、シナリオ1→シナリオ2、というありがちな展開か。(お先真っ暗)
とはいうものの、日本の政策が「みんな仲良く・弱者保護」で進むのであれば、顧客業界は「みんな仲良く・横並び」でいくであろうから、あまり経営変化もないのかも。その場合はシナリオ1のまま。

なんか競輪の予想みたいだな。。。