NOVA騒動に思う

よく読んでる経済ブログMish's Global Economic Trend Analysisでの名文。

Energy Plan Political Pandering

  1. It will worsen the problem at hand
  2. It will do nothing to solve the problem but instead create a new problem somewhere else
  3. It will worsen the original problem and create new problems
  4. In the very best case it will do nothing at all

(政治が問題を解決しようとすると、以下のどれかになる)

  1. 問題はさらに悪化する
  2. 対象の問題は解決されず、どこか別のところで新しい問題が生みだされる
  3. 対象の問題は悪化する一方で、さらに別の問題が生み出される
  4. 最善の場合でも、何も解決されずに終わる

NOVA騒動に思う

メディアは猿橋社長叩きに走っているけど、そもそも何が問題だったのかを考えてみよう。

  • 日本の義務教育における英語授業は役に立たなかった
  • だから英会話教室に対する潜在需要は高かった
  • が、少人数教室で質の高い英語教育を行うのは費用が高くついた
  • だから受講生に補助金がばらまかれた

ここが問題。大量生産でレバレッジが効く工業なら、立ち上げ時に補助金を出す意義はあるかもしれない。(もはや国がやる必然性はないが) でもサービス産業である英会話教室ではレバレッジは期待できない。

結局、補助金を打ち切った瞬間に、講師一人当たりの生徒数を増やす必要がでてくる。手段は二つ。

  • 生徒一人当たりの受講機会は保証するが、中学校みたいな大教室で実施(品質低下)
  • 品質を保つため少人数教室を維持するが、生徒一人あたりの受講機会は減少

このどちらかを選択しなければNOVAは即座に潰れていたはず。まあ、それも第三の手段と呼べなくもない。

問題の本質は「義務教育家庭での英語授業が役に立たない」ことであり、目先解決の手段として「その穴埋めをしてくれる民間事業に補助金をばらまいた」わけだ。が、問題の本質は解決されず、「補助金打ち切りに伴い、大勢の受講生が経済的被害を被った」という新たな問題が生まれてしまった。

Mishのいうパターン2ってやつだ。

今後は「受講生の権利保護」みたいな感じで、一連の消費者保護同様の規制が張り巡らされることであろう。これにより、「金払ったけど、授業を受けられなかった」みたいな被害はなくなるかもしれない。

でも、規制を強化することで英会話教室の経営そのものが魅力的でなくなり、誰も英会話教室など経営しようと思わなくなる、というのが結論ではないかな。

そして「義務教育家庭での英語授業が役に立たない」という問題は解決されないまま22世紀に突入していく、と。

類似品

  • 派遣労働
  • 建築基準
  • 利息上限

消費者保護とか労働者保護、という名目で、かえって問題が悪化していることってないかね?

お役所や国会のセンセー達の介入を「断る」勇気が有権者に求められているのではなかろうか。