下院法案3962号が1990ページあった件

  • 米国下院において、法案3962号が審議を通過したそうな。
  • 連邦国家レベルで医療保険制度を整備しましょう、という法案。
  • 米国では今までそんなものなかったわけだから、確かにこれは歴史的な話ではある。
  • 上院での審議は2010年に入ってから。
  • でも...この法案ってシステム屋がよく目にする「デスマーチ」序章の典型なんだよね。

WaPo 10月29日版: House Democrats pull together on health care

  • 民主党による法案3962号は実に1990ページの分厚さ。
  • これは、かつて潰されたクリントン時代の法案より620ページも多い。
  • この一方で、やはりそれなりに分厚い共和党案が存在したわけよ。
  • つまり、議員さん(と、その裏方さんたち)は「数千ページの概要設計書(案)」をたたき台にして、「予算」「期間」「効果」を議論してきたわけだ。
  • でも、これらの内容を全部詳細に押さえている人は非常に少ないんじゃないかな。
  • 各議員さんはお得意さん(政治資金をいっぱいくれる業界)の視点で政策を考える。
  • そして、個別策は「うまくいくことを基本に」検討が進む。
  • 「うまくいかなかったら何をしなければいけないか」という事くらいは検討されるだろうけど、「うまくいかなかったら何をしなければならないかもしれないか」という事象についてはほとんど無視される。
  • だって検討事項が増えすぎちゃうんだもん。
  • こういう「検討から外れた可能性」が各議員さんの持ち分だけ存在し、それらの組み合わせは途方もない数になる。
  • それらが発覚するのは法案が施行されてから。
  • こういう法の「穴」を埋めるのは裁判所の仕事なので、後からなんとかなるという気持ちがあるのは事実だろう。
  • だとしても、ざっくり1兆ドルの予算が見込まれる国家事業を、こうして「ぽん」と決議しちゃうってのはすごい。
  • 当然、「穴」があったときの予算超過もそれなりの規模になるだろう。
  • 10%でも1000億ドル。
  • そしてこういうのは増えることはあっても減ることはない。