失敗とは何か?

「生産性は測れない」(id:masayang:20060425#1146007359)の中でリンクされているMartin Fowler氏の記事を無断邦訳。

失敗とは何か? (by Martin Fowler, 15 May 2003)
CHAOSレポートによれば、成功するプロジェクトの割合はたったの34%だそうな。

Standish GroupのCHAOS reportは、長年に渡ってドブに捨てられてきた何十億ドルにもなるIT関係プロジェクトの話を延々と述べている。34%の成功率っていうのは実は改善された数値で、2001年の調査では28%だったんだな。

でもさ、ここでいう「失敗」ってのはどういう意味だと思う? Chaosレポートでは、プロジェクトの成功を次のように定義している。「納期を守り、予算を守り、予定された機能の多くが実装されている」のが成功だというんだ。 でもこれって本当に成功の定義として正しいかね? Windows95は予定された納期からはめちゃめちゃ遅れたけど、Microsoft社のビジネスとしては大成功だったよね。

納期が遅れたとか予算を超過したとかでプロジェクトが失敗した、というのは変だと思うね。自分なら、それはプロジェクトが失敗したのではなく見積が失敗している、というだろうな。なので、CHAOSレポートにいろいろ書かれているのはソフトウェアプロジェクトの失敗の話ではなく、ソフトウェア開発見積失敗の話なんだな。

じゃあ、成功と言う条件には何が必要だろう? 投資収益率(ROI)が答かもしれない。 でも残念ながら、これも測定不能なんだね。(詳しくは「生産性は測れない」を見よ。訳注: 日本語訳はid:masayang:20060425#1146007359) つまるところ、成功か失敗かを決めるのはプロジェクトにかかったコストとビジネスにおける満足度というあいまいな感覚なんだろうね。このあいまいな定義に君は納得しないかもしれない。でも、現実のビジネスというのはこういうあいまいなことばかりなんだよ。 なんでもきっちり測れるのなら、君の会社の社長はコンピュータがやってくれるはずだ。