EPO検査における偽陽性(False Positive)
Canadian Cyclistに興味深い記事が出ていた。
Genevieve Jeanson Accepts Offer to Settle from the USADA
米国に活動拠点を置く、カナダ人女性選手Genevieve Jeansonは、去年のTour de Toonaレース後の尿検査でEPOが検出され、自転車レースから永久追放[*1]されるところだった。ただし、本人はEPOの使用を断固否定したため、USADA以外の第三者による徹底調査が行われた。そのレポートまとめ版がこれ。まとめ版でも長いので全部は訳さないけど
- 激しい運動をした後には、尿に蛋白質が混ざることがある
- 検査用に取得した尿は冷却して厳重に保管しないとバクテリアが増殖する
- Jeanson選手の場合、両条件が重なり、バクテリアが蛋白質を分解した物質がEPO検査の指標と重なり陽性反応となった
ということみたい。
USADAはこの調査結果を受け入れ、Jeanson選手に「二年間出場停止でどうよ?」という提示をし、Jeanson選手はそれを受諾した、というのが今回のニュース。
なぜ二年の出場停止?
USADAは明確に「Jeanson選手はEPOを使ってない」ことを認めている。にも関わらず、二年間の出場停止処分とは? これは、Canadian Cyclistの記事にでているが
- 二年間出場停止は2005年のTour de Toonaから適用されるので、2007年夏には処分が終わる→実質、半年
- 罰則なしとなると、CAS調停に持ち込まれるから、さらに時間を浪費することになる
- USADAはJeanson選手がEPOを使ってないことを認めており、同選手の名誉は回復されている
ということで、USADAのメンツをたてたということであろう。でもこれは、USADAの体質が露呈した事件とも言える。彼等は選手を罰してナンボ、という連中なのである。
結構でかい事件
今回の決定は、今後のドーピング検査に微妙な影響を与えるはず。EPOに限らず、激しい運動をした直後の選手から取得した尿を検査するという検査方式そのものが問われるから。