OracleがSAPを訴えた

今日の新聞ビジネス面トップはこの話題が突出していた。

Oracleの主張によれば、ドイツに本社を置くSAPは米国子会社を通じてOracleの知的資産を大規模に盗んだ、とのこと。その手口はSAP米国子会社であるSAP TNの顧客(複数)保有するOracleサポート用アカウントを流用して、Oracleサポートサイトから様々なファイル、文書を持っていったという。[*1]

USA Todayの記事には一例としてHoneywell社が挙げられている。同社はOracleからSAPに乗り換える前は3年で20回しかサポートファイルをダウンロードしなかったのが、乗り換え後は「二週間で7000ファイル」を取得したそうな。

でもABC Newsには別の視点でのコメントが書かれている。SAPはOracle顧客に対し「SAPもOracleのサポートをしまっせー」というサービスを歌って、顧客を得る作戦を展開してきたらしい。ならば、SAPに乗り換えた顧客がOracleのサポートファイルをいろいろ入手するのもわからないことはない。なぜならSAPはそういうファイルをもってないから。

大事なことは、Oracleは収入の半分をサポート費用から得ているということ。その収入源をSAPに吸い取られるのはなんとしても避けたいはずだ。

死ぬまでやってろ(笑)

今回の裁判がどうなるかはわからないけれど、この二社って沈み行く船の中で特等席を争っているようにしか見えない。

データベースはもちろん、ERPCRMでもオープンソース製品が静かに、着実に力をつけてきている。まだそれらは12〜3年前のLinuxくらいの実力しかないかもしれないけれど、SAPやOracleの高コスト体質に嫌気がさしたユーザ達は、徐々にオープンソースに流れていくだろう。

既存大手にとって致命的なのは、この流れは底辺から始まるということ。重要顧客ではない、ある意味「どうでも良い」客から逃げていく。そして重要顧客達のつなぎとめに懸命になっている間に、オープンソース製品は一定のシェアを確保し、既存大手は一流顧客というニッチに追いやられる。

SAPとOracleは、その一流顧客の奪い合いをしているわけね...

*1:SAP TNは、Oracleが買収したPeoplesoftの元社員達が仕切っていたらしい。紙媒体のUSA Todayに書かれていた。