大規模ってなんだろう

大規模ってなんだろう

  • 責任者の数が多く,その責任範囲が曖昧.
  • 管理職の数が多く,現場の人間が少ない.
  • 会議の時間が長く,開発の時間が少ない.

1993年に当時Taligentで働いていたおっさんから教えてもらった小話。

日本とアメリカがエイト(9人乗りの手漕ぎ船)での競争をすることになった。
そしてアメリカは日本にあっさりと負けてしまった。

敗退でショックを受けた監督は全米から優秀なコンサルタントを招き、敗因を分析してもらった。

以下の事実が判明した。

  • 日本は1名の音頭取りがいて、8人の漕ぎ手が働いている
  • アメリカは5人の音頭取りがいて、漕ぎ手が4人しかいない

アメリカチームは1年間かけて対策を立て、再び日本に勝負を挑んだ。 
だが、またもあっさりと負けてしまった。

再びコンサルタントが呼ばれ、敗因が分析された。

以下の事実が分かった。

  • 日本は1名の音頭取りがいて、8人の漕ぎ手が働いている
  • アメリカは1名の音頭取りがいて、漕ぎ手は2人。そして、その漕ぎ手の性能を監視する装置を6人のマネージャが監視していた...

背景

英語の原文を探し出せないでこまっているのだけど、この小話は日本の製造業がアメリカ産業を駆逐するかと思われていた時代のもの。アメリカの議員さん達が日本製のラジカセをたたき壊して喜んでいた時代だ。それくらい日本の製造業は勢いがあり、その根源は製品開発の管理工程にあるとされた。

日本の製造業は「1名が8名を管理する」軽量管理であり、アメリカの製造業は「4名が4名を」「8名が2名を」管理するような重量級管理だった。それを皮肉ったのが、上の小話だ。

Agileは日本の製造業の管理手法をソフトウェア開発に適用したもの、ともいえる。そして日本のソフトウェア開発は、かつてのアメリカ製造業なみの重量級管理が常識とされている。ちょいとした開発でも「大規模」になってしまっている現場は珍しくないよね。まあ、だから儲かる所は儲かっているんだけど...