これはもうだめかもしれんね

時差ぼけで眠れないので、あちこちの経済関係サイトを探検していたらこんなブログを発見。
Straight Talk on the Mortgage Mess from an Insider
不動産融資業界で20年以上働いてきた人が、現在の米国不動産バブル問題について「率直に」語ったメールを転載している。読んだ感想は...米国は、どうしようもない景気後退に突入していくのではないか...

サブプライム問題は序の口&たかが知れている

  • サブプライムは低収入の人達の生活がかかっているので注目を浴びやすい
  • でもサブプライムローンは、不動産融資市場の25%を占めるに過ぎない
  • 高収入でクレジット支払い履歴(FICO)も高い人達の家が、ある日突然競売にかけられるリスクが高まる来年以降がヤバい
    • この人達は今回のブッシュ徳政令の対象外

次の問題は「第二抵当」「逆償却ARM」等など

  • 金余りがピークで不動産融資も下火になりかけた2005年に、金融機関は「持ち家評価価格上限まで融資&収入査定なし」という、とんでもない第二抵当融資を売りまくった。
    • CITI, Wells, WAMU, Chase, National CityそしてCountrywideの名前が挙がっている。
  • 不動産価格が下がってしまった現状、これらの債権は不良化する確率が極めて高い。損失計上するときの簿価は「ドルあたり数セント」と、このメール差出人は評価している。
    • ちなみにWells Fargoが所有する第二抵当債権は額面で840億ドル。この90%以上が損失計上されるかもしれない...怖いね。
  • 第二抵当で借りるという手があったから、家のローンを払いつづけられる(非サブプライムな)人達がいたのも事実。現在、ほとんどの金融機関は第二抵当融資を停止しているので、これらの人達が支払い不履行に陥るのも時間の問題。

Pay Option ARMというのも怖い

  • Pay Option ARMについての説明は長くなるので別エントリで
  • カリフォルニアの高所得地域(そして不動産が高騰している地域)の住宅ローンで多く使われている。
  • 100万ドル(1億円)以上の家を、月々数千ドルの支払いで買える、というのが受けた。
    • アパート家賃2000ドル以上が普通な地域なのである
    • Pay Option ARMの主な貸し手はWamu, Countrywide, Wachovia, IndyMac, DowneyそしてBear Stearn
  • これらの債権は「ほぼ無価値になっている」という
  • Pay Option ARMの金利リセットが本格化するのは来年から
  • メールを書いた人自身「何十億ドルものOption ARM融資に関わった」と豪語している
    • 家の価値が毎年10%以上上昇しなかったらこの人たちはどうなるんだろう、と心配しながら貸していたそうな

問題が顕在化しないのは市場が機能していないから

  • 金融機関は抱えている(不良化した)不動産債権をどこかのタイミングで計上する必要がある
  • それには値付けが必要。
  • つまりは不良債権を「市場価格で」買い叩く投資家が必要。
  • でも、この先どこまで下がるかが見えてないので、買い手も現れない。

最大の問題は「供給過剰」な市場

  • どこかで不動産市場が好転するのを待てば良い、という期待は無駄
  • シリコンバレーは平均収入9万ドル
  • その人達が100万ドルの一戸建てを買えたのは、Option ARMがあったから
  • Option ARMなしで100万ドルの家を買える最低年収は17万5000ドル
  • その比率は高収入が多いシリコンバレーでも10%
  • そしてシリコンバレーで100万ドル以上する家の在庫は5倍に増えてしまった
  • 供給が5倍に増えて、需要が90%減った状態で市場は好転するだろうか?
  • 収入が二倍になる or 価格が半分に落ちる
    • 前者の確率は極めて低いね