アメリカの不動産価格はどこまで落ちるのか
12月28日のCNNサイトに、興味深い記事が。→Quick housing rebound a question after missed '07 forecasts - Dec. 28, 2007
- 2006年末に専門家に対して実施した2007年米国不動産市場動向予測の総括
- 2007年にここまで不動産価格が下落することを予測した人はいなかった
- 2008年の予測は一転して「弱気」に
当然、「どこまで落ちるのか」が気になる。
クルーグマンはかく語りき(1)
Charting the housing bubble - Paul Krugman - Op-Ed Columnist - New York Times Blog(12月20日記事)より
- 持ち家の価格と、賃貸の家賃を比較→株でいうPERに相当
- バブル期は賃貸と比較して持ち家価格が上昇する傾向がある
- 1980年代にロスアンゼルスが経験した住宅バブルは、崩壊後に住宅価格が30%下落
- 今回は全米規模で見ても、1980年のLAよりひどい(地域によってはもっとひどい)
つまりクルーグマンは、「全米規模で少なくとも30%の下落」を見込んでいるわけだ。
賃貸との比較であることに注意。景気後退で家賃が下落すれば[*1]、不動産価格はさらに低下する。
クルーグマンはかく語りき(2)
Jingle mail, jingle mail, jingle mail eek! - Paul Krugman - Op-Ed Columnist - New York Times Blog(12月20日記事)より
- 今回の不動産バブルを支えたOption ARMは、従来になかった借り手行動を生み出している
- 頭金ゼロ+利子のみ(あるいは利子以下)の支払期間が終わって返済不能=借り手の資産はゼロ
- つまり、借り手は「失うものは何もない」状態→あっさり持ち家保有をあきらめ、競売(Foreclosure)を選択しちゃう
- つまるところ、貸し手は競売で得られた額しか返ってこない
- 上記「かく語りき(1)」にあるように、住宅価格は30%下落する恐れがある
- すなわち、貸し手は「融資額の30%」の損失を覚悟する必要がある
- 損失総額は「2兆ドル」に達する
2兆ドルはでかい。景気後退は確実。
不動産価格は、30%下落でも済まないであろう...