理論株価算出お助けツール
株式取引の本を読むと、必ずP/Eの話が出てくる。日本だとPERと書く、あれだ。Price Earning Ratio。株価÷収益=PER。そのままやんけ。問題は...
- 将来の収益予測をどうするか
- 将来のP/Eをどう予測するか
これにつきる。
desighning better futures: Get rid of your recency bias to price the market
- この記事で面白いツール(Excelのシート)が紹介されている。URLは http://nickgogerty.typepad.com/designing_better_futures/files/SPDJIAPEriskfreeyieldpredictionV1.0.xls
- そのExcelを開いて、Simple Predictorと書かれているシートのスライダを調整するだけで理論株価を算出できる!
- P/Eは「リスクなし利率(Risk free rate)」+「株価リスク利率(Equity risk premium required)」に分離
- Risk free rateとは米国5年債の利回り
- Equity Risk premiumは、P/Eの逆数から上記Risk free rateを引いたもの
- 例えばP/E=20で、五年債利回りが3.1%なら、Equity Risk premiumは1/20*100 - 3.1 = 1.9となる
先週の終値で試してみる。
- Bloombergによれば5年債の利回りは3.13%
- WSJのページからSP500のP/Eは23.10
- 1/23.1*100-3.13=1.199がEquity Risk premium
- SP500終値は1375.93だったから、これにあうようにEarningのスライダを合わせると...株価は5%マイナス成長を見込んでいることになる。
- 実は年初来のSP500のEarningは、現時点ではマイナス25%。マイナス5%を達成するには、第二四半期以降急激に経済が回復する必要がある。
ここからはシミュレーション。
シナリオ1
- 基本的に現状と同じだが、P/Eが歴史的にみて「普通」な15まで低下
- 1/15*100-3.13=3.53% premium
→SP500理論値は$896。
シナリオ2
- 今後の米国債発行ラッシュで5年債の利回りが3.5%に上昇
- SP500のP/Eが、歴史的にみて高めの値(20)まで低下
- 1/20*100-3.5=1.5% premium
- 第二四半期以降の経済回復は弱く、マイナス10%成長
→SP500理論値は$1121。
シナリオ3
- 今後の米国債発行ラッシュに加え、Fannie Mae/Freddie Mac国有化で5年債の利回りが4%に上昇
- SP500のP/Eが、歴史的にみて低めの値(10)まで低下
- 1/10*100-4=6% premium
- 第二四半期以降の経済回復はなく、マイナス25%成長
→SP500理論値は$467。
いろいろ遊べるツール。今の株価は「第二四半期以降の急激な収益回復」を強く期待していることがよくわかる。期待が強いからP/Eも高い。この期待が消えるときに株価がどう動くかは興味深い。
また、国債の発行ラッシュで金利が上昇すると、理論株価は下がっていくことにも注目。今年度、すでに4500億ドルの財源不足な米国政府。どーすんだろ。