理論株価算出お助けツール

株式取引の本を読むと、必ずP/Eの話が出てくる。日本だとPERと書く、あれだ。Price Earning Ratio。株価÷収益=PER。そのままやんけ。問題は...

  • 将来の収益予測をどうするか
  • 将来のP/Eをどう予測するか

これにつきる。

desighning better futures: Get rid of your recency bias to price the market

  • P/Eは「リスクなし利率(Risk free rate)」+「株価リスク利率(Equity risk premium required)」に分離
  • Risk free rateとは米国5年債の利回り
  • Equity Risk premiumは、P/Eの逆数から上記Risk free rateを引いたもの
    • 例えばP/E=20で、五年債利回りが3.1%なら、Equity Risk premiumは1/20*100 - 3.1 = 1.9となる

先週の終値で試してみる。

  • Bloombergによれば5年債の利回りは3.13%
  • WSJのページからSP500のP/Eは23.10
    • 1/23.1*100-3.13=1.199がEquity Risk premium
  • SP500終値は1375.93だったから、これにあうようにEarningのスライダを合わせると...株価は5%マイナス成長を見込んでいることになる。
    • 実は年初来のSP500のEarningは、現時点ではマイナス25%。マイナス5%を達成するには、第二四半期以降急激に経済が回復する必要がある。

ここからはシミュレーション。

シナリオ1

  • 基本的に現状と同じだが、P/Eが歴史的にみて「普通」な15まで低下
    • 1/15*100-3.13=3.53% premium

→SP500理論値は$896。

シナリオ2

  • 今後の米国債発行ラッシュで5年債の利回りが3.5%に上昇
  • SP500のP/Eが、歴史的にみて高めの値(20)まで低下
    • 1/20*100-3.5=1.5% premium
  • 第二四半期以降の経済回復は弱く、マイナス10%成長

→SP500理論値は$1121。

シナリオ3

  • 今後の米国債発行ラッシュに加え、Fannie Mae/Freddie Mac国有化で5年債の利回りが4%に上昇
  • SP500のP/Eが、歴史的にみて低めの値(10)まで低下
    • 1/10*100-4=6% premium
  • 第二四半期以降の経済回復はなく、マイナス25%成長

→SP500理論値は$467。

いろいろ遊べるツール。今の株価は「第二四半期以降の急激な収益回復」を強く期待していることがよくわかる。期待が強いからP/Eも高い。この期待が消えるときに株価がどう動くかは興味深い。

また、国債の発行ラッシュで金利が上昇すると、理論株価は下がっていくことにも注目。今年度、すでに4500億ドルの財源不足な米国政府。どーすんだろ。