5月の中古住宅販売件数

日経: 5月の米中古住宅販売、2.0%増

全米不動産協会(NAR)が26日発表した5月の中古住宅販売件数(季節調整済み)は年率換算で499万戸となり、前月から2.0%増えた。市場予想(495万戸)を上回り、3カ月ぶりのプラスとなった。

ここだけ読むと状況が改善されているように思われるかもしれないけど、実態はよくない。というか、悪化している。

Mr. Mortgage: May Existing Home Sales Preview

Mr. MortgageがDataQuestによる5月カリフォルニア州中古住宅販売データをまとめている。

  • 中古販売は33,024件で、前月比+5.7%。5月にしてこの伸び率というのは1995年以来最低。
  • 抵当流れによる販売件数は12,648で、前月比+7.15%。前年同期比+700%。
  • 12,648÷33,024=38.4%が抵当流れによる販売。この割合は前月比1%増加。
  • 抵当流れでない「正味販売件数」は20,376件。
  • 中心価格は33万9000ドル。前月比-4.3%。前年同期比-29.96%。
  • 中心価格はFannie/Freddie経由で借りやすい41万7000ドル以下に集約しつつある。
  • 5月に発生した債務不履行通知(Notice of defaults)件数は43,301。この8割(34,650件)が4〜5ヶ月以内に抵当流れに。
  • 5月に銀行保有物件(REO)となったのは24,831件。これらは「隠れ在庫」となる。
  • 在庫増加は5352件。

在庫やREO(隠れ在庫)が増え続ける限り、価格下落圧力はなくならない。同記事によれば

in the past 4-months, 167k new notices-of-default were filed. If 80% turn into REO, an average of 33,500 homes per month will be taken back by the banks in the next four months, which is more than sales have been since August of last year.

  • 過去4ヶ月で16万7000件の債務不履行通知が発生。
  • この8割がREOとして銀行に戻ってくるとして、毎月33500件が4ヶ月続く。
  • これは昨年8月から販売された住宅件数より多い。
  • つまり、在庫はどんどん増える。

This shadow inventory is being sold at massive discounts to the note amount and recent comparable sales in any given neighborhood and pose the real threat to home prices across the nation. All over the country, neighborhoods are being marked-to-market overnight due to shadow inventory being dumped that was never shown as part of the listed housing stock in the first place.

  • これらの隠れ在庫(REO)は、大幅な値引きで叩き売りに出される。
  • 結果として、近隣住宅の価値を大幅に下げる。
  • 支払が厳しい家庭では、評価額がローン残高を下回ったら抵当流れを選択することになる。
  • つまり、さらに抵当流れの家が増える。
  • 悪循環...

どこまで下がるのか

  • DTI(税引き前収入に対する返済額の割合)が30%
  • 30年固定7%

という条件だと、

  • 年収5万ドルの家庭で...月々1250ドル返済=19万ドル
  • 年収7万ドルの家庭で...月々1750ドル返済=26.5万ドル
  • 年収10万ドルの家庭で...月々2500ドル返済=38万ドル

ちなみにカリフォルニア州の世帯収入はmedianで6万6000ドル。→カリフォルニア全体で中古住宅の中心価格が33万9000ドルというのは、まだまだ高すぎる。

高収入といわれるシリコンバレー近辺でみると、年収中心値(median)は

  • Marin郡...$116,626
  • Santa Clara郡...$95,457
  • San Mateo郡...$95,394
  • Contra Costa郡$87,478
  • El Dorado郡...$78,489

(ソース)

ということで、シリコンバレー近辺でもmedianで40万ドル切る所までは落ちるんじゃないかな。

もちろん...物価がさらに上昇したり、財政にあえぐ自治体が増税したりすると、これらの前提は甘すぎになる。