GMに学ぶ

General Motorsが四半期で150億ドル(1兆6000億円)の赤字を計上した。

  • 3ヶ月で150億ドル
  • 一ヶ月で50億ドル
  • 一日あたり1.67億ドル
  • 一時間あたり6900万ドル
  • 一分あたり115万ドル=1億2400万円くらい

これくらいの勢いで赤字を出してみよう!
ということを学ぶのではない。

The Fact

GMの2008年7月自動車販売売上は前年同期比26.7%の減少。つまり、去年の今頃はもっと売れていたということだ。

そして、去年の7月はどうだったかというと...2006年と比較して22.3%の減少。つまり、2006年はもっと売れていたということだ。

さらに2006年7月は...前年同期比19.7%の減少。つまり、2005年はもっと売れていたということだ。

The Good Time

実はGMのクルマは結構売れていた頃があったのだ。特に住宅バブル時代には需要が高かったLight Truckの類と、その派生商品である大型SUVがよく売れていたた。Light Truckというのは下記のようなDQNなクルマね。

そしてLight Truckは利益率が高かったらしい。

そもそも内装や空力設計に凝る必要はない。競うのは荷台のデカさと馬力と頑丈さだけ。当時はガソリンもそれほど高くなかったし景気もよかったから燃費には目をつぶれた。なので、エンジンは昔からある巨大V8を転用すればよかった。

要は既存資産の活用で大きな利益を得られたということだ。

The Bad Time

2006年春あたりを境に状況は一変する。住宅バブル崩壊が始まり、まずはLight Truck最大購入者である建設関係者の財布が一気に冷え始めた。さらにサブプライム問題を引き金に、経済全体が落ち込み始めた。一方でガソリン価格はどんどん高くなった。

こうなると、GMが主要収益源としてきたLight TruckやSUVを買おうとする奇特な人は減ってくる。

そして市場が求めているような、燃費が良くて、機敏に走る車をGMは持っていなかった。

既存資産・既存技術に頼る危うさ

手持ちの技術を活用することで事業を拡大できるというのは、経営者にとってはうれしい話かもしれない。大規模な研究開発投資をしなくても、チャリンチャリンとお金が転がり込んでくるのは悪い話ではない。

だが、既存資産・既存技術に頼るということは、市場の変化に対する備えを放棄するということでもある。

まもなく生命維持装置が付けられそうなGMを見ていると、昔から受け継いだソースを抱えたまま、昔ながらの技術で開発を続けている日本のSI屋も同じ運命になるのではないかと思えてくるんだよね。