雇用の保証がよろしくない
- あいかわらず「受託SIでもAgile開発を活用して生産性を上げようよ」、という布教活動をやっている。
- 積極的に乗ってくれるプロジェクトもあるけど、少数派。
- 大抵は「理屈はわかるけど、現実は無理」という反応。
で、今回はその根本的理由がわかるような話を聞けた。
発注元の立場
- システムやそれを必要とする業務に無駄があるのはわかっている。
- そして、その「無駄」があるから仕事を維持できている人がいるのも事実。
- 本当にシステムにより業務が効率化されてしまったら、これらの人は職を失う。
- そしてそれは終身雇用の世の中では好ましくない。
- だから、無駄だらけで、汎用性がない「宮大工」みたいなシステムを発注することになってしまう。
受注側の立場
- 過去の景気の山や谷の関係で、現在40代半ばの人達が、若手世代よりも多いいびつな年齢構成となっている。
- 今後、これらの人達にどうやって飯を食わせるのかが課題となる。
- なので、非効率でも大人数で開発するような体制を組むことになる。
- Agileなどで生産性が向上することで、これらの「おじさん」達が仕事を失うことは(経営は)容認できないはず。
なんのことはない
雇用を保証するために発注元も受注側も非効率に目をつぶっているのであれば、そこでは革新的な生産性向上など受け入れられるはずがない。生産性向上のための「ちょっとした工夫」が取り込まれれば良い方。現実は、無駄な作業を増やしているだけ、と。
ただし、これでは発注元・受注側双方が競争力も活力も失っていくだけではなかろうか。自分の持つ能力を向上させる意味がないのだから。
「生産性が向上して、開発できない人はクビになるような会社で働ける?」と、相手は俺に聞いてきた。
自分はそれでも構わない。もう一度鍛え治して就職しなおすか、自分の能力に見合った給与をくれる会社に逃げ込むか。職を確保するために作業を増やすような所では、正直仕事がおもしろくないでしょ...