(未来の)納税者の皆さんへ

現実逃避でMinyanvilleのBorrowing on Our Futureを速攻乱雑意訳。

(未来の)納税者の皆さんへ

アメリカ合衆国政府がいわゆる金融安定化救済案を成立させるまであとどれくらいかかるかわかりませんが、お知らせしたい事があります。

最初に...お話ししたいのは20歳未満の皆さんです。議会が納税者達にぺこぺこ頭を下げるのは、それなりの裏があります。議会がほとんどの市民達をだまくらかして無責任な財政を続ける事ができるのは、現在の有権者達もなんだかんだいって無責任財政の恩恵を受けているからです。議会が本当にやらなければならないことは、将来の有権者達、すなわち罪のない若者達をだまし続けて、「今の世代の」餌食とすることなんですよ。

議会は今回の救済案に関して、現在の納税者達にはビタ一文請求しませんよ。だって、大統領候補は二人とも減税を宣言しちゃったんだもん。じゃあ、誰がこの救済案に必要なお金を払うのでしょう? アメリカの公的負債はざっと11兆ドル。 そして、まだ確定していない将来の支出義務がざっくり50兆ドル。 もちろん、議会にはそんな大金払えるはずないっての。

でも心配無用。議会はちゃんと「お金」をとってきますよ。いつもの場所から! 今回の危機を生んだのと同じ方法で! 要は借りてくればいいんですよ。大抵はアジアの中央銀行達が貸してくれます。貸してくれない時はどうするって? 大丈夫。貸してくれるんですよこれが。貸し続けないとドル資産が下落しちゃうから貸さざるを得ないんです。そして借り続ける私たち、つまり今の世代は将来の事などまったく考えません。なぜなら、返済するのは私たちの世代ではないんですから。

未来の納税者の皆さん。私がこの手紙を書いたのは、次の助言を聞いてほしいからなのです。 経済、国際情勢、そして政治についてできるだけ早いうちに勉強しておいてください。 そうすることで、皆さんの将来の生活水準を下落させる仕組が見えてくる事でしょう。

議会が「納税者のお金を使って」誰かを救済すると決定する時、それは「私たちのお金」ではなく、「皆さんの世代のお金」なのです。私たちの世代は、将来を担う皆さんからお金を借り続けているのです。そして皆さんはこの負債を、今よりもっともっと高い税率か、今よりもっともっと価値の低いドル通貨という形で返す事になるでしょう。

政府は皆さんのお金を、実に非生産的なことに消費しようとしています。銀行の株価を支えようとか、そういうことにね。そして創造的なことにはビタ一文使う事はないでしょう。代替エネルギーの開発とか、そういう切羽詰まった分野にはお金は流れません。そういうものなのです。

なかなか学び取れないこともあるでしょう。今回の救済案にドサクサまぎれで差し込まれているある法案は、わけのわからない中央銀行の歴史における革命的な一歩を踏出しているのです。FRBは、デポに対して利息を払う事ができるようになったのです。

ほとんどの人は、「だから何なの?」と思う事でしょう。でも、この新しい仕組により、FRBはバランスシートを無限に拡張できるようになったのです。このことにより、FRBは米ドルの価値をいくらでも下げる事ができるようになったのですが、なぜそうなったのかは皆さんの宿題としましょう。いずれにしても、これは重要な話です。なぜなら、皆さんは将来の「ドル」稼ぎ柱なんですから。

さて、お話はここまでです。どうせ、若い人は年寄りの話など聞く事はないでしょうけど...

追伸: こんな大人達ばかりでごめんね

敬具
Mr. Practical.

雑感

  • 今回の救済案否決に対する世論には、「救済案が通らないと、世界経済が大変なことになる」という論調のが目立つ。
  • そりゃ、大変なことになるだろうね。大恐慌2.0かも。
  • だけど、この痛みを次の世代に先送りするというのは、良識ある大人の選択といえるのかね?