株屋と不動産屋は「今が買い時」以外の表現を知らない

日経: とある企画広告記事より

「新々価格」市場から低下へ転じた動きの背景

首都圏の新築マンション市場は、'00〜'05年がおおむね底値の市場となっていた。'06年からマンション価格は上昇したが、一般的に'05年までが「旧価格」市場、'06年以降が「新価格」市場、'07年以降が「新々価格」市場と言われている。具体的に上昇率で見ると、'05年の旧価格から '06年の新価格は5〜10%程度の上昇であったが、'07年はさらに25%前後の大幅上昇となり、まさに新々価格の高値市場となった。

  • 価格の上昇・下降の時期に名前をつけて何の意味があるのか?
  • もしかして株価分析の「エリオット波」と似たような分析をしている?
  • だとすれば、「新々価格」と呼んでいるそれは、エリオットの「第5波(相場末期)」だっただけなのかもね。

ここでマンションが値上りしたメカニズムを見てみよう。まず、'04年の秋頃から、マンション用地が上昇を始め、'07年後半に価格のピークとなった。加えて'06年後半から建築費も大幅に上昇、土地代と建物代というマンションの2大構成原価が高騰したわけだ。ところが、'07年の後半からそれらの高値マンションに消費者がついてこれず販売が不振となったため、デベロッパーの売値の設定も変らざるを得なくなった。同時期に起こった米国の信用力が低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題の影響もあり金融機関の融資が一気に絞られた結果、デベロッパーの用地仕入れのペースもダウンした。マンション用地価格は全体的に弱含みに転じ、'08年前半から一気に低下へ向かった。

  • マンションが値上がりした仕組みを分析するといいながら「まず、'04年の秋頃から、マンション用地が上昇を始め」という土地上昇の理由には手つけず。
  • だけど用地価格の下落は「米国の信用力が低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題の影響もあり金融機関の融資が一気に絞られた結果」と断じている。
  • つまり「信用拡大があったからマンションは値上がりし、信用収縮がおきたからマンションは値下がりしている」だけのこと。
  • 一行で書ける。

「買い手市場」の今がチャンス

一方、マンション構成原価の多くを占める建築費を見ると、原油の高騰や資源高による鋼材価格のアップなどにより建築コストが'07年から'08年の2年間で大幅に上昇。'06年以前の水準から見ると'08年は40〜45%ものアップとなった。現在、土地価格は目に見えて低下してきているが、原価構成の中で大きな割合を占める建築費がほとんど低下を見せない状況では、新築マンションの価格が今後も下がる余地は少ないと言えよう。

  • 「原価構成の中で大きな割合を占める建築費がほとんど低下を見せない」といってるが、その建築費を上昇させた「原油の高騰や資源高による鋼材価格のアップ」は過去の話。
  • なので「新築マンションの価格が今後も下がる余地は少ない」というのは嘘。
  • 図は原油($WTIC)と鉄鋼($DJUSST)推移。


  • 信用収縮が終焉し、信用拡大が再開する迄はこの下落は続く。
  • 信用収縮はいつ終わる?
  • 信用拡大で無茶した企業や世帯の債務が整理されるまで続くでしょ。

そんな状況でもデベロッパー各社は、エンドユーザーの希望予算に合わせて価格改定などによる売値のアジャスト努力を行っている。現在の建築費の状況を見れば、今後も提供できる価格設定ではない物件もあり、そういった物件はお買い得といえる。今はまさに買い手市場であり、ジックリ吟味して自分に合った最適なマンションを購入できるチャンスである。

  • わかりにくい表現なので通訳しよう。
    • 原文: 現在の建築費の状況を見れば、今後も提供できる価格設定ではない物件もあり、そういった物件はお買い得といえる。
    • 翻訳: これ以上値下げされると販売側は懐が痛むので、とにかく今の価格で買っていただきたいのである。

土地やプロジェクトその物を高値掴みした業者が多いのは事実であろう。そういう案件を安く手に入れるにはどうすればいいか? 業者がつぶれるまで買い控えれば良いのである。 債務整理の時点で適正市場価格が決まる。

今が買い時という言葉には気をつけよう。