「売れない」のではなく「いらない」。「貸さない」のではなく「借りたくない」。

Minyanville: Americans to More Debt: Talk to the Hand

  • 例によって適当に無断翻訳。

借りまくれ、アメリカ人(馬の耳に念仏だけどさ)

政治家の連中は全くわかってない。俺達はもう借りたくないんだってば。

議会のセンセーたちが銀行の経営者達を「なんで国の救済受けているのに貸し渋りしてるんだゴルァ」とぼこぼこにしている状況は、テレビ受けはするかもしれない。だけど、貸し渋りを非難していることこそ、我々が選出したセンセー達が現実離れしちゃっているという証なんだな。議員さん達が未来をしっかり見据えたことはこれまでもなかったけど、連中が報道向けにどたばたとしている間にも、この国の経済は彼らの想像もつかない方向に進んじゃっているのだ。

Bloombergによればアメリカ人はこれ以上負債を抱えることに消極的になったそうだ。どんどん悪化する経済の下では、みんな自分のお金の使い道に関してきちんと考えざるを得なくなるんだな。

前述のBloomberg記事は、Midsouth Bancorp社社長のCloutier氏の言葉を引用している。それによれば「いくら宣伝しても、市民会館での集会で宣伝しても、2000万ドルのTARP資金を供給してもらっても、わが社のお客様はお金を借りようとしないのです。」だそうな。

これぞDepew教授のいう「デフレ経済構造における負債拒否」であり、私達が今まさに目の当たりにしている現象そのものなわけだ。

信頼関係がなければ融資は成り立たない。「借手に返済能力があることを貸手が信頼しなければならない」という具合に貸手の視点から考えるのが普通だ。利率については、貸手・借手双方が対等の信頼関係になる。そしてもう一つ、借手が貸手を信頼する、という関係もあるんだな。

シティやバンカメ、あるいはウエルスファーゴといった大銀行が「アメリカ国民から搾取し、ぼこぼこにしちゃう連中」といった印象が広まっちゃうと、借手候補だった人たちは「こんな連中に俺の将来を握られていいのかね?」と引き気味になってしまう。クレジットカードの会社は貸倒れ回避のために、融資条件をぽんぽん書き換えてくるし。こんな状況では消費者が借金に対して慎重になるのも当然でしょ。

なんていう事実があるのに、議会のセンセー達は、なんとかして消費者が(より借金をして)お金を使いまくってくれることに期待しちゃっている。センセー達はものすごく傲慢で、トンチンカンなことを考えているのだよ。つまり、自分勝手な政治屋達は、「国家経済を上向かせるためには、アメリカ国民達に無謀な借金をさせることが可能だ」と信じ込んでいるんだな。

沈没寸前の産業、特に「自動車」と「住宅建設」は、政府救済資金によって国民が借金しまくり、クルマや家を買ってくれる、と期待している。だけど、GMやフォード、あるいはCentexやKB Homes(どちらも大手住宅建設企業)は重要なことを理解していない。「アメリカ人はおめーらが押し売りしようとしているクルマや家なんて、いらないんだっての」。そしてもう一つ。そんないらないモノを買うために借金することなどあり得ない。

アメリカはかつては借金依存で、無駄遣いする社会構造だった。そこからの転換は一朝一夕というものではなかろう。金融危機で社会の雰囲気が変わってくるのに18ヶ月がかかっている。

一方で...経済の先行きがどんどん暗くなるにつれて、政府の専制度は強まり、約束を反故にするようになってきた。やがて、現実が見えてくることだろう。

過去20年に渡ってアメリカ人がすっ飛ばしてきた経済の道は、唐突に崖を突き破って終わってしまった。今、アメリカ人達はその崖をバックミラーを通して見ているわけだ。アメリカ人はくるくると回りながら、つかめる枝を探している。政府がやろうとしている救済策は、俺達をわざわざその崖の上まで戻して...また同じことをやらせようとしているだけなんだよ。

アメリカ人はその道がどうやって終わるか、もう知ってしまった。んでもって、その終わり方は気持ちよいものではなかった。他の道を選びたい、といったら、政府はどうするんだろ?