学者の言うこと

Bloomberg: Recession Probably Abated Last Quarter: U.S. Economy Preview

  • 米国の景気後退は終わったかもしれない、という経済学者のお言葉を紹介した記事。
  • 紹介されているのはJoel Naroff氏。
  • 2007年8月
    • サブプライム問題の顕在化を指摘しているが、「雇用は生まれているし消費も好調なので深刻な景気落ち込みはない」、と結論。
  • 2007年9月
    • この前月、久しぶりに雇用が減少した。
    • 信用収縮も顕著になってきた。
    • 「このままだと景気落ち込みは避けられないかもしれないが、Fedの介入で深刻なものにはならないだろう。」
  • 2007年10月
    • サブプライム問題が深刻化。
    • 消費者にもっと金を使わせる必要がある。
    • Fedはさらなる利下げを。
  • 2007年11月
    • 株価が不安定になっていた頃。
    • 多くの金融機関が損失を報告。
    • Fedはさらに0.25%利下げ。
    • 結果、原油はさらに上昇。
    • 「雇用が生まれている限り、サブプライム原油高も克服できるでしょ」という結論。
  • 2007年12月
    • 2007年総括と2008年見通し。
    • 「2008年には景気後退が始まるかもしれないけど、回避できるはず」と結論。
    • masayang注: 今回の景気後退は学術的には「2007年12月」に始まった事になっている(笑
  • 2008年1月
    • ISM指数が縮小開始→サブプライム問題が実経済に波及。
    • 「既に景気後退入りしている可能性もあるが、雇用減少が続くかどうか見極める必要あり」と結論。
  • 2008年2月
    • 株価急落を受け、Fedが異例の大幅利下げをした頃。
    • 「景気後退入りしたと白旗を上げる必要あり」と結論。
  • 2008年3月
    • 二ヶ月連続で雇用減少。
    • 「景気後退入りは避けられなさそうだけど、普通は数ヶ月で終わる。今年末までには回復するでしょ」と結論。
  • 2008年4月→発行なし
  • 2008年5月
    • ブッシュ戻し税政策が実行された後。
    • 第一四半期GDPはかろうじて黒だったが、「状況は予断を許さない」と分析。
    • 原油や食料高騰で消費者がひーひー言ってた頃ね。
    • にも関らず「深刻な景気後退は回避できるだろう」と楽観的な予測。
    • そのためには「とにかく消費、消費、消費だ」とも。
  • 2008年6月
    • 失業率が5%から5.5%に急上昇(masayang注: 去年はそんなに低かったのね...)
    • 一方で原油は峠を越えたっぽい。
    • 住宅販売件数もちょっとだけ増えた。
    • 「第二四半期はマイナス成長かもしれないが、急激な落ち込みはないだろう」と結論。
  • 2008年7月
    • 企業の人員整理が本格化。
    • ブッシュ戻し税効果で、消費は増加。
    • 住宅市場は悪化。
    • インフレ率4%でFedは利下げを見送り(masayang注: まだインフレを心配していたのね)
  • 2008年8月
    • 住宅市場さらに悪化。
    • 失業率5.7%。
    • 「ここから急激な回復が始まっても私は驚かない」と結論。
  • 2008年9月
    • 失業率6.1%
    • 月あたりの雇用減は10万を越えた。
    • 「Fannie/Freddie実質国有化で住宅ローン利率が下がり、住宅市場は回復するし、経済も急激に回復するだろう」と結論。
  • 2008年10月
    • 秋の株式暴落、金融機関の破綻や強制合併直後。
    • さすがに景気後退入りを認めた。
    • 「景気後退は2009年まで続く可能性がある。景気後退が終わってから実際の成長軌道に乗るまでは1年かかるかもしれない。」と結論。
  • 2008年11月
    • 失業率6.5%(1994年以来)
    • 信用市場ずたずた。
    • Fed財務省が頑張ってるから、恐慌にはならないだろう」と結論。
  • 2008年12月
    • 2008年の総括と2009年の予測。
    • 「2009年夏までには景気後退は終わるだろう」と結論。
  • 2009年1月
    • 失業率7.2%
    • 雇用減は52万
    • 「消費者は財布を固くし、企業も一斉に景気後退に備えた。一時的に数字はさらに悪化するが、その分回復も早くなるだろう」と結論。
  • 2009年2月
    • 失業率7.6%
    • 雇用減60万近く
    • オバマ政権による景気刺激策のもたつきを懸念。
  • 2009年3月...発行なし
  • 2009年4月
    • 失業率8.5%
    • 雇用減66万3000
    • にも関らず、モールや自動車ディーラーにはやや活気が戻ってきた。
    • 株価も急騰開始。
    • 「悪いニュースに対する耐性がついてきた」という分析。

はー疲れた...

  • ざっと読み流したけど、このおじさんは「万年強気派」なのね。
  • GDPプラ転という意味では、学術的な景気後退は確かに終わったかもしれない。(し、終わってないかもしれない)
  • でもここから力強い成長が待っているかというと...そんなに強気にはなれない自分である。