週末経済考察

  • 諸々の事、徒然なるままに...

Calculated Risk: A Comment on Seasonal Adjustments

  • 「季節調整」についてのわかりやすい記事。

What if I wrote that U.S. payroll employment increased by 383 thousand jobs in May 2009 following an increase of 259 thousand jobs in April 2009?

アメリカの雇用が、この4月に25万9000増加した上に、さらに5月に38万3000増加したと言ったらどう思う?

  • ちなみにBLS発表数値は
    • 4月が50万4000の減少。
    • 5月が34万5000の減少
  • が、この二つは季節調整済の値。
  • 実際は、上記CR記事にある通りの数値。4月と5月は、季節調整前数値で見ると雇用は増えていたのである。
  • 雇用は季節変動が激しい。しかも、その変動はかなり規則性が高い。
  • 例えばクリスマス商戦前には小売業がたくさん雇うけど、年明けと共に解雇する。
  • 等々の理由で、雇用の増減はCR記事にあるようなグラフになる。(クリックすると拡大)

  • 赤の棒が季節調整前。
  • これらの季節変動を考慮して調整したのが青い折れ線。
    • 「1月は雇用が毎年平均220万人減っているから、実際の数値に220万足す」みたいなことをしているらしい。

Zero Hedge: The Truth Behind Today's BLS Report

  • で、今日発表された雇用統計は「非農業部門で24万7000人の減少」
  • 事前予測は32万5000減だったので、予想よりもよい。
  • 景気後退終了♪
  • とはならないらしい。
  • 本来の7月は、製造業が生産調整で人を減らすはず。
  • だが、今年は自動車産業GM/Chryslerの生産再開があったため、いつもの年とは異なるパターンになっている。
  • が、BLSの季節調整モデルは変更無しなので、自動車産業を中心に雇用がものすごく増えたように見える、ということ。
  • 同様の「トリック」が政府部門雇用にも使われている、とするDavid Rosenburg氏の記事が紹介されている。

After hiring a slew of Census workers in the spring, there were 57,000 layoffs in May-June and then we saw in today’s report that 12,000 federal workers were “hired” in July. Again, mathematically, this contributed about 20,000 to today’s headline number.

Calculated Risk: Employment-Population Ratio, Part Time Workers, Average Workweek

  • で、失業率とか雇用増減とかを単体で見るのは危ないよ、と指摘している良記事。
  • 図をみればわかる。
  • まずは米国人口のうち、働いている人の比率。


→急落中。

  • 次は「フルタイムで働きたいのに、仕事が見つからないのでパートタイム職で働いている人の数」


→急増して、踊り場にいる所。

  • 最後は製造業および非管理職の一週間あたり就労時間。


→徐々に減少中。

  • 働く人の割合が減って、なおかつ、働く時間も減っている。
  • これでV字回復はあり得るだろうか?

MSNBC: Consumers trim debt for 5th straight month

  • 米国消費者は消費を控え、借金を返したり貯蓄に回したりする傾向が強まっている。
  • 6月の消費者負債は4.9%(103億ドル)減って、25兆ドルに。
  • 過去最大の落ち込み。
  • それだけ消費が減り、景気回復は遅れる事に。*1

US$、金利、株

  • 雇用統計を受けてドルは急反発。


  • 10年債は3.9%をつける場面も。


  • 図はドル(対通貨バスケット)とS&P500株価の関係。強いドル=株には不利。


  • だが、S&P500株価は雇用統計を受けてさらに上昇。


  • 今のTrailing P/Eは66.81

(ソース)

  • Trailingとはいえ、あまり安い感じはしないなぁ。
  • 今の株価(S&P 500=1010)と10年債利率(3.9%)を、P/Eと成長率で考えると...
P/E 成長率
20 44%
25 28%
30 17%
35 10%
40 4%
  • 10年債3.9%と、歴史的平均P/E=15で考えると...
成長率 S&P500
-2% 576
-1% 582
0% 588
1% 593
2% 599
  • 10年債3.9%と、今のForward P/E=16.81で考えると...
成長率 S&P500
-2% 623
-1% 629
0% 636
1% 642
2% 648
  • そう遠くない将来、また3月の安値(666)を試す事になるのではなかろうか...

WJS: What Might Crack This Rally?

  • ではこの相場を崩すきっかけは何なのか? という記事。
  • なんなんだろうね。

自分の予想は...

  • ファンドマネージャ達の利益確定売り。
  • 資産の時価評価で彼らの査定が決まるわけじゃないでしょ。利益確定させないとだめ。
  • みんなが一斉に買い上げてきたわけだから、みんなが一斉に利益確定させるとなると、それなりに落ちるのではないかな。

*1:米国消費はGDPの7割