15年前...15年後...
Twitterで@hyoshiokさんおよび@takadatさんと連絡がつくようになり、15年ほど前の懐かしい話を思い出した。
当時の自分は某社のお金でStanfordの客員研究員に送り込まれるという立場だったが、毎日自転車ばかり乗っていたことはあまり知られていない。
真面目な話、当時はNCSA MosaicなるWebブラウザからMosaic Communications(後のNetscape)が生まれたり、Yahoo!がStanfordの一研究室から企業として立ち上がってり、Webを使った事業が芽を吹く最中なのであった。もなかじゃないよ。さいちゅうだよ。自分が所属していた研究室からはArchitext社(後のExcite)のCTOが生まれていた。なので、自分もそのあたりを中心に研究っぽいことをするために、自転車で大学まで通ったのだ。
そんな中、たしか1994年だと記憶しているが、Stanford大学で第一回World Wide Web Conferenceだったかそんな名前のカンファレンスが開催され、自分も参加したのであった。そこで印象に残っていた話題は
- Web通信のセキュリティ確保
- Webで実現する百科事典
- Webを自動巡回して作るディレクトリ
あたりかな。特に(3)はWWWW(World Wide Web Worm)という実プロジェクトが紹介され、自分の好奇心を強くかき立てた。WWWWは当時wwww.comというドメイン名を保有し、実験的サービスも提供していたのだが、今は別の団体に所有権が移っている。Wikipediaに痕跡あり。
(1)が印象に残っているのは、当時は「CD-ROMで商品カタログを配布し、注文は電話で受ける」というのが「未来の通販」として真顔で語られていたから。これを全部Webでやってしまおう、その為にもクレジットカードなんかの情報はSecureに送受信できるようにしよう、という発想には感心した。*1まだ28.8kモデムが出現したかどうか、という時代だったのだ。
(2)はWikipediaという形でとりあえず実用化されている。でも、そこではOntology使った野望が語られていたと記憶しているので*2、Wikipediaはまだまだ進化するかもしれない。
いずれにしても、94年当時はまだ学会レベルで議論されていたような話が数年〜10年以内には(課題はあったろうけど)本番サービスとして社会に影響を与えるような地位になってしまったことは覚えておきたい。
94年当時に学会レベルだったということは、そのちょっと前(例えば90年)には、ほとんどの人が思いつきもしなかった発想だったはず。「夢を形に」というキャッチコピーがあるけど、「夢にすらでなかったもの」が15年もすると実用化され、雇用を生み出しちゃうこともある、ということだ。
「今の延長で考える」一方で「不連続な何か」が現れても柔軟な発想で対処する。これが大事なのかも。
*1:そしてその数年後、Amazon.comは産声を上げた
*2:もしかしたら、別の学会と勘違いしているかも...