綱渡り

シリコンバレーで名の知れた街の一つにPalo Altoがある。Stanfordに隣接し、数々の新興企業が生まれ育った街。

Palo Altoと高速101号で分断される形で隣接する街がEast Palo Alto。自分が初めてシリコンバレーに出張した頃90年代序盤、この街は「Capital of Murder」という異名がついていた。殺人の首都。人口あたりの殺人事件件数が全米一位だったのである。

このPalo AltoとEast Palo Altoの住宅価格を比較検討した記事がMinyanvilleに掲載されていた。→Andrew Jeffery: A Decade in Flux: A Tale of Two Housing Markets

まずはEast Palo Alto。

  • 住宅価格推移(平方フィートあたり価格。黒線は60取引移動平均)

  • 「殺人の首都」と呼ばれていた街だったが、ドットコムバブルにつられてEast Palo Altoの住宅価格も上昇。
  • 最も安い地区だったので上昇率も激しかった。1998年から2006年でほぼ3倍に。
  • だが、信用バブル崩壊で2007年以降は急落。1998年水準まで戻る。つまり、価格は1/3に。
  • 2009年以降低価格帯での取引件数が増えており、底値圏形成の可能性あり。

そして隣のPalo Alto。

  • 住宅価格推移(平方フィートあたり価格。黒線は60取引移動平均)

  • 2001年のドットコムバブル前後、Palo Altoも小規模な住宅バブル形成・崩壊を経験した。
  • その後上昇に転じ、住宅価格は2008年に峠。
  • だがEast Palo Altoが2007年以降経験したような価格急落は「まだ」見られない。
  • 現在の価格は2004年の水準。
  • 全米の高級住宅市場はだいたい値動きが共通で、価格ピークは他の市場より遅く訪れ、その後の価格下落も緩やか←楽観的な投資家が支えている。

These high-end markets have benefited from the strong stock market of the past nine months. If the economy can avoid another tumble and markets can remain resilient as the government gradually withdraws its stimulus, high-end markets may find support sooner than many skeptics think.

  • これら高級住宅市場は、過去9ヶ月の株価上昇に支えられている部分が大きい。
  • もし「景気が二番底を回避し」「政府の景気刺激策撤退に市場が耐える」ことができれば、高級住宅市場はそれほど価格下落せずにすむ「かもよ」とAndrewは結んでいる。

一方...

CR: Option ARM Recast Update

  • 2007年12月に書いたOption ARMの「Recast」が今年後半にやってくる。
  • 月々の返済額が急増する「Payment Shock」も一緒に。
  • その返済額増加は、金利(LIBOR)動向次第。
  • LIBORが低いままなら、Payment Shockは小規模で済むが、そうではない場合「返済額倍増」という予測もある。

綱渡り

Palo Altoのような高級住宅を2005年以降に購入した層は、Option ARMに依存している割合が高いと推定される。この人達がPayment Shockであぼ〜んしないようにするためには、金利(LIBOR)を低く抑えたままにすることが必要なのだが、果たして可能だろうか。60万ドル、70万ドルの家が大量に市場に放出されても、買い支える人はそんなにいないよ。