住宅市場にもHFT(高頻度売買)導入

CR: HUD Changes FHA Rule for Flipping

  • 住宅・都市開発省(HUD)は、連邦住宅局(FHA)の住宅ローン規則を変更。
  • 2月1日より、短期転売におけるFHAローン保証が容易になる。
  • 従来は、FHA保証を受けたら入手から転売まで最低90日間保有する必要があった。
  • Foreclosure物件は傷んでいるものが多く、補修して転売すれば結構な利益を手にすることも可能。
  • だが、90日保有となると、その間の維持管理が大変。特に治安の悪い地域だと、せっかく修繕してもまた破壊行為を受ける可能性が高い。
  • なので、この「90日制限撤廃」は、低価格帯物件の市場を安定させる可能性がある。

一方で...CRが引用しているHUD発表を読むと、この規制緩和が「価格吊上げ」に悪用される可能性を懸念していることがわかる。90日以内での転売が可能になるのは...

  • All transactions must be arms-length, with no identity of interest between the buyer and seller or other parties participating in the sales transaction.
  • 売手と買手とが無関係であること。
  • In cases in which the sales price of the property is 20 percent or more above the seller's acquisition cost, the waiver will only apply if the lender meets specific conditions.
  • 売り手が入手価格の20%以上の価格で販売する場合、ローン貸手に対する審査が追加される。(どんな条件が追加されるのかは書かれていない。)
  • The waiver is limited to forward mortgages, and does not apply to the Home Equity Conversion Mortgage (HECM) for purchase program.
  • リバースモーゲージ(HECM)には、90日間以内転売は適用されないよ。

一番目の条件は非常に重要である。関係者間で値段を吊り上げながら案件を転がして、最後に無関係な人に売り抜く、なんてことが許されたら市場が本来持っているはずの「価格発見機能」は骨抜きになる。

でも、これこそがまさに今回のHUD決定の目的なのかもしれない。CR記事より

The title of the document is WaivPropFlip2010.pdf (probably stands for Waiver Property Flipper - aptly named)!

→HUD発表のPDFファイル名は「WaivPropFlip2010.pdf」。おそらくは「Waiver Property Flipper」=不動産転売適用除外。つまり、HUDはなんだかんだいって転売活動を促進しようとしているのではないか。

以前問題になった頭金支援プログラム(DAP)は、「売手が買手に頭金を提供することは禁止」されていた。だが、現実には売手が慈善団体に現金を寄贈し、その慈善団体が買手に頭金を支援するという「すり抜け」がまかり通っていた。

今回の決定も、賢い人達は既に抜け穴を考え出しているのではなかろうか。2月以降の低価格帯住宅市場の動向に注目したい。