引き際を大事に
日本出張の週末を使って実感に帰省。両親が30年以上経営していた寿司屋を閉めたのが7年前。当時は苦渋の選択だったらしいけど、今となっては正しい判断だった、と父は語った。
少ないが年金はもらえる。なによりも借金はない。
父は時々卸売市場には顔を出しているらしいが、今も頑張っている同業他社達からは「いい時に店をたたんだ」と言われているそうな。その後の景気低迷でどの寿司屋も不調。高齢化で自分たちはつらい。かといって、借金は残っているから隠居もできない。
実家の寿司屋は、本来なら一人っ子の自分が継ぐべきだったのだろう。だが、継いでもろくな結果にはなっていなかったはずだ。田舎の小さな市場を、小さな寿司屋達が食い合って苦戦している中に、もう一件店が増えても、戦いはさらに熾烈になるだけ。
市場のパイが小さくなっていく以上、そこから敢えて撤退を選択する参加者の意志は尊重されるべきではなかろうか。その分、パイの分配は増え、競争に残った人達は少し楽になる。
あとは引退を選択した人達の生活を圧迫するようなインフレ政策が実行されないことが重要だろう。