ショートセール詐欺でQuick Bubbleを

CR: Short Sales: Arm’s Length Transactions

  • Short Sale=担保割れ物件
  • Arm's Length Transaction=利害関係にない間での取引

→担保割れ物件を使った「詐欺行為」が横行していますよ、というCRの指摘。例えばこんな感じ。

  • ある物件の持ち主Xが、買手Yおよび不動産エージェントZと共謀。
  • その物件は、$20万で売れるはず。
  • だが、Zは「Yの出した$15万というオファーが最高」と銀行に報告。
  • 銀行は「しゃあないなぁ」と$15万でのショートセールを承認。
  • Zは形式的に、物件をMLSデータベースに登録。(記事に出ているビデオの事例では、なんと登録時間はたったの数分!)→MLSに登録した事実がないと、ショートセールが認められない。
  • Yは$15万で買った物件を転売。$20万で売れたら、利益をX, Zと山分け。

→これはFBIが取り締まるレベルの犯罪。問題は...ショートセールの物件が今後数百万件でてくる、ということ。いちいち全部検査などしていられない、というのが現実でしょ。

そして、このArm's Length Transactionという言葉は最近の別記事にも登場した。→住宅市場にもHFT(高頻度売買)導入

一方で...CRが引用しているHUD発表を読むと、この規制緩和が「価格吊上げ」に悪用される可能性を懸念していることがわかる。90日以内での転売が可能になるのは...

  • All transactions must be arms-length, with no identity of interest between the buyer and seller or other parties participating in the sales transaction.
  • 売手と買手とが無関係であること。
  • In cases in which the sales price of the property is 20 percent or more above the seller's acquisition cost, the waiver will only apply if the lender meets specific conditions.
  • 売り手が入手価格の20%以上の価格で販売する場合、ローン貸手に対する審査が追加される。(どんな条件が追加されるのかは書かれていない。)
  • The waiver is limited to forward mortgages, and does not apply to the Home Equity Conversion Mortgage (HECM) for purchase program.
  • リバースモーゲージ(HECM)には、90日間以内転売は適用されないよ。

一番目の条件は非常に重要である。関係者間で値段を吊り上げながら案件を転がして、最後に無関係な人に売り抜く、なんてことが許されたら市場が本来持っているはずの「価格発見機能」は骨抜きになる。

→CRのショートセール記事にあるとおり、既に「arms-length」の検査は機能していないように思える。ショートセール詐欺団がFHAのローンでレバレッジをかけて活発に動けば、米国住宅相場は短期的にぐぐっと上がる可能性がでてきた。
もちろん、その後には高値でつかんだ層がデフォルト起こして...という、サブプライム問題の繰り返しが待っているわけだが(笑