リフレーションは持続せず、デフレ定着へ
Nathan's Economic Edge: THE Most Important Chart of the CENTURY、という記事にあったチャートを転載:
- これはアメリカが1ドルの債務を増やした際に、どれくらいGDPが増えるかを1960年から記した曲線。
- まだアメリカのバランスシートが健全だった1960年代は、当然ながら負債$1増加でGDPは$1近く伸ばせた。
- やがてアメリカが借金漬けになるにつれ、債務を増やしてもGDPの伸びは小さくなってくる。返済に回す分も増えるから。
- Bad Moneyという本には、2000年代初頭には「$1のGDPを稼ぐのに$7の借り入れが必要」と書かれていた。このチャートとほぼ一致する。
- ⊿GDP/⊿債務が0.1ということは、$10借金してもGDPは$1しか増えないということ。
- ⊿GDP/⊿債務が0ということは、いくら借金してもGDPは一定ということ。
- ⊿GDP/⊿債務がマイナスということは、いくら借金してもGDPは減少して行くということ。
- この⊿GDP/⊿債務曲線は増加減少を繰り返しながら漸減しており、だいたい2015年でゼロに到達すると予想されていた。
- が、先の金融危機が引き起こした深刻な景気後退への対策として大規模な財政出動があったため、ついにマイナスに陥ってしまった。
- その後GDPはプラス成長を回復したようなので、⊿GDP/⊿債務比は一旦はプラスに戻ることであろう。
- 言うまでもなくこの⊿GDP/⊿債務がマイナスの状態を維持することはできない。 debt saturation=債務飽和。
- つまり、遅かれ早かれ米国は⊿GDP/⊿債務曲線を右肩上がりに持っていくことを強制される。
- ⊿GDP/⊿債務曲線が「水平ないしは右肩あがり」であることを持続的に維持するための条件はなんだろう?
- 家計部門なら、債務返済を最優先し、その他の支出を抑えること。
- 企業部門なら、債務返済を最優先し、投資や雇用を抑えること。
- 政府部門なら、債務返済を最優先し、歳出を抑えること。公共事業は当然減っていく。
→これはデフレじゃ。
⊿GDP/⊿債務曲線を右肩上がりにせざるを得ないからデフレになるのであって、その原因を作ったのは過去のリフレーション政策の積み重ねなんだよね... さらに調べたい人はBad Moneyを読もう。
- 作者: Kevin Phillips
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