時間外ATM利用料は安くなるが...お金を下ろせなくなる!? 改正貸金業法

時間外ATM利用料は安くなるが...お金を下ろせなくなる!? 改正貸金業法

 金融庁全銀協は31日、改正貸金業法適用後の銀行ATM利用方針を発表した。新方針によると、6月以降のATMからの引き落としは銀行営業時間中のみとされ、それ以外の時間帯は引き落としではなく「翌営業日までの融資」と判断されることになった。利用者の口座から残高が引かれるのは翌営業日朝だから、という理由である。

これにより、時間外のATM利用手数料は大幅に下がることが期待される。例えば月曜日の午後5時に1万円を引き落とす場合、従来なら100円ないしは200円の手数料を払う必要があったが、6月以降は「翌朝9時返済の融資」と扱われる。年利12%の場合、発生する利息は一日あたり3.33円なので新手数料は消費税を含めた5円とする銀行が多数と予想される。週末を挟む場合でも、新手数料は最大15円でしかない。

 だが喜んでばかりもいられない。引き落としではなく融資となる以上、時間外ATM利用のためには金融機関の審査を受ける必要がある。定職に就いてない人や学生、未成年は時間外ATMを利用できなくなる。また、ATM設置場所も著しく制限を受けることになる。コンビニATMは撤去されるか、銀行営業時間内のみの稼働をせざるを得なくなるだろう。

 新方針への声は賛否両論だ。ある都銀銀行幹部は本誌のインタビューに対し、「正直落胆せざるを得ない。ATM利用料は不況時でも絶えることのない貴重な収入源だった。だが、多重債務に苦しむ人々への対応であれば仕方ない。預金金利を下げるなどして対処するしかない。」と答えた。

 よくコンビニのATMを使うという主婦は「毎回210円とか315円とか手数料とられるのが悔しかったので嬉しい。え?専業主婦は審査に通らないから時間外に使えないの?」と、今回の新方針に唖然としていた。

 一方で警察省は週末や長期連休前に引き落とされる多額の現金を狙った犯罪を警戒している。警視庁防犯課では、「100円や200円をケチって多額の現金を奪われるよりは、こまめな引き落としでリスクをへらすように。ご利用は計画的に。」と呼びかけている。