本当に仕分けが必要なもの

州・自治体財政への支援はあるか?で紹介したように、各州・地方自治体はどこも財政危機。で、ニューヨークの例を見ればわかるけど

  • 今年度の歳入不足は85億ドル
  • NY州年金基金へ払わなければならない金額は60億ドル。だが、この60億ドルは当のNY州年金基金から借り入れることに。

→どう考えても年金の負担が大きすぎる。こういう状態なのに、福祉を削って2億5000万ドル節約だの、小手先の「仕分け」で四苦八苦しているのがNY州の現状。公務員の待遇(給与、年金、医療)を見直さない限り、財政状態は改善しないだろう。そしてこれはNY州に限った話ではない。

Bloomberg: San Diego May Use Bankruptcy to Roll Back Benefits: Joe Mysak

  • BloombergのOpinionに出ていた、Joe Mysak氏の記事。
  • San Diego市もやはり財政が悪化している。年金と医療費の積立不足は35億ドル。この積立不足を隠蔽したため、SECから摘発された過去がある。
  • 財政の抜本的立て直し策として「Chapter 9(地方自治体の破産に相当)で公務員の年金や医療費債務を整理すべし」という審査委員会(Grand Jury)の意見を紹介。

Municipalities are not required to raise taxes or cut costs to the bone before filing for reorganization under Chapter 9.

自治体は増税や限界までの歳出削減をしなくてもChapter 9による債務整理を申請できる。

  • また、審査委員会はサンディエゴ市職員、それも管理職が多すぎるという指摘もしている。

there are now anywhere from seven to nine layers of costly management between the mayor and a blue- collar worker in the field.

市長と現場職員の間に7層から9層もの高給管理職が存在している。

Eliminate redundant positions and extraneous levels of management and supervision as employees leave city service through attrition.
職員の自然減に合わせ、冗長かつおびただしい階層を成す管理職を削減せよ。

Restore the cuts to public safety personnel as a priority.
公共の安全を優先し、この部門の人員削減分を回復すべし。

→警察や消防の現場職員を削れ、と言っておきながら実は市役所の中の管理職が多すぎだった、ということ。そういえばイリノイ州の高給取り教職員も、皆さん高給管理職だ。

でも選挙なんだよね

問題の所在は見えている。対策もわかっている。でも、その対策が真面目に語られることは当面はないだろう。そんなことしたら、秋の選挙で公務員票を失ってしまう。たぶん、今年も例年と同じ小手先対策と会計上のちょっとした細工で問題先送り。