Amazon Cloudに思う

昔々、まだ家庭の電話機が黒のダイヤル式が普通だった頃、灰色のプッシュホン電話ってのはえらく斬新的に見えた。そのプッシュホン、我が家には自分が小学校5年の時にやってきた。ちょうど実家が寿司屋を始めた年だったのでよく覚えている。

実家は寿司屋を始める前は田舎のしがない町工場を経営していた。小学校1年で算盤を初め、当時はまだ珍しかった電卓や、父親が使う計算尺をその頃から習っていた自分はもともと計算機に惹かれる性質があったのかもしれない。電卓で曜日計算する方法とか、いろいろ下らないことを考える日々だった。

そんな自分がプッシュホンのマニュアルを読んでいるうちに、0100111という番号を見つけるのはそれほど時間はかからなかった。

0100111というのは当時の日本電電公社が提供する計算機をプッシュホンから操作する際にかける番号で、APLという言語(ちうか、記号じゃな)を使うことができた。プッシュホンの10キー(および*, #)でプログラミングできたのである。電卓や計算尺では面倒だった繰り返し計算が自動化できてしまうというのは当時の自分には驚異的な衝撃だった。

そしてたしか小学校6年の夏休みだったと思う。寿司屋が暇な8月の午後、両親が休憩している間に0100111でいろいろプログラミングを楽しんでいた自分は、何かヘマをやらかして、その月の電話代が10万円を超えてしまったのだ。今から35年前の10万円。これは父親の激しい怒りを買った。

時は流れ2010年。

Amazonクラウドは安いもんじゃのぉ。そりゃEBSで目一杯ディスクをマウントして、x-largeのインスタンスMySQL動かしまくり、なんてことをすれば一ヶ月で$5000くらいの課金はいくかもしれない。でも、普通の開発に使うのならせいぜい月々$500くらいか。

素晴らしい時代になったものだ。