CyberRebate.com事件
ネットバブルの頃はこんな事件もあったんだよ、という昔話。
PCWorld: CyberRebate.com Goes Bankrupt
- 2001年5月24日記事
- CyberRebate.com社が破産法11条の申請をしたよ、というお話。
CyberRebateは2000年ネットバブルで生まれた多数のドットコム企業の一つで、ちょっと変わった商売をしていた。安売り競争路線ではあるのだけど、単純に値引きして売るわけではない。むしろ、定価より高く、場合によってはかなり高く売る。記事の例を見ると、
- $50のコードレス電話を$259で販売。ただし一定期間経過後に、購入者は一定期間後に$259のリベートを請求できる。
- つまり、無料で電話を変えることになる。ただ。Nada。None。Nil。Free。
この会社がいつから存在したのかは知らないが、結構な数の固定客を掴んでいたのは確かだ。
自分の周辺でもこれにはまってた人が何人かいた。最初は比較的安い商品で、リベート率も低い。それが徐々に高価格の商品が対象となり、リベート率も100%に上がっていく。タダより高いものはない、というが当時のCyberRebate社の説明は「信用できる企業の短期資金融通のためにやっているので安全」ということだったらしい。
が、PCWorld記事にあるように、CyberRebateは破綻する。その破綻直前には当時大人気だったPSPの購入なんてのもやっていた。定価より高くPSPを売る。購入者はリベート請求可能になるまでの期間をじっと待つが... CyberRebateはあっさりと店を畳んでしまった。
この事件がややこしかったのは、CyberRebate社は「代金を受け取ったが商品は発送しない」などという詐欺行為は一切働いていなかったことだ。したがって(記事にもあるが)購入に使ったクレジットカード会社に泣きついても返金されることはなかった。戻ってこないリベートを取り戻す唯一の手段はCyberRebate社の破産手続きに際して債務者の列に並ぶことだったが、どれほど取り戻すことができたのかは定かではない。
うまい話にご用心
なんか最近、クーポン使った共同購入みたいなのが流行りつつあるみたいだけど「安値をコミットしておいて大勢からお金を集める」という商売は実は結構なリスクを背負っている、ということは覚えておこう。
- 注文殺到して足らなくなったら?(返金すればいいんだろうけど、商売としては値付けに失敗したことになる)
- 注文が足らず、仕入れ額が高くなったら?(まあ、赤字で売るしかないだろうけど、やはり商売としては失敗)
売る側がリスクを減らすにはどうすればいいのだろう?
- クーポンを先着限定にする。(だとしても、早く売り切れたらやはり価格設定は低すぎたということにはなる)
- 「半額」とか歌いながら粗利を充分積んだ価格にする。すなわち、実はすごい安物に高い定価を設定する。
いずれにしても、うますぎる話には一歩下がっておいて損はしない。