国債バブルという幻想

Naked CapitalismのWhy Treasury Bonds Do Not Fund Our Federal Deficit(国債財政赤字を補填しない理由)経由、THE MYTH OF THE GREAT BOND “BUBBLE”(国債バブルという神話)を適当に抜粋要約。

  • 米国債がバブルになっているという話題が目立つ。
  • だがこれは国債市場の役割を誤解した結果である。
  • そもそもバブルとはなんぞや、という定義をしておく。
  • バブルは市場が対象の価格を著しく不安定な状態に持っていくこと。
  • そして市場全体の崩壊が付随してくる。
  • では米国債市場がバブルになっているという定義は当てはまるだろうか?
  • つまり米国債が他の資産に比べて著しく高価になっており、その価格が暴落するようなことはあるだろうか?

というあたりまでが、導入部分。

  • ここ数年、米国が対外債務でデフォルトするのではないかという話が繰り返されている。
  • だが、ここでもう一度「米国国債市場ってなんなの?」ということをきちんと整理しておこう。

In a country with monetary sovereignty in a floating exchange rate system (USA & Japan, for instance) the bond market is really nothing more than a mechanism through which the central bank controls the money supply.


変動相場制のもとで貨幣主権を持つ国々(米国や日本など)における国債市場は、中央銀行が貨幣供給を制御する仕組み以外のなにものでもない。

  • ユーロ圏や金本位制の時代とは違うわけ。
  • 実際、米国国債の入札は割れない。あれだけ「中国が米国債売った」とか「日本は米国債を買い控えている」とか言われても、だ。
  • 買手はどこから来ているのか? なぜ買い続けるのか?

The government bond market is merely a monetary tool that the central bank utilizes to control the cost (or supply) of money by controlling the level of reserves in the system. So, when the government auctions bonds they are merely targeting reserves in the system. This action is mandated by Congress as an accounting tool and so is seen as a source of funding, however, in reality the Central Bank is merely draining reserves that the Treasury already spent into existence – reserves that were deposited at various banks.

−政府発行国債市場は、中央銀行による貨幣制御のための道具でしかない。

  • 通貨システムの準備金水準を調整して、貨幣のコスト(や供給量)を調整する。
  • 政府が国債入札をするというのは、通貨システムの準備金水準を目標に合わせているだけ。
  • この仕組は議会の規定によるものであり、政府の財源と思われがちである。
  • だが現実には、民間銀行に預金として集められたお金が積み立てられた準備金を、財務省が既に使ってしまった分だけ放出している、だけなのである。
  • なので国債の買手がいなくなるということはありえない。
  • 準備金で0.25%の金利が得られ、さらに政府からの国債金利分が(期間にも寄るが)上乗せされる中、銀行は国債を買わない手はない。
  • 中国や日本が米国債を買ってくれるに越したことはない。米国は喜んで国債現物を(必要なら)届ける。引換は中国からたくさんの製品・サービスを買い上げるということだ。
  • だからといって、中国が米国債を売却しても特に困ることもない。中国から買わなくなった分、国内での貯蓄が増える。貯蓄は銀行準備金に回って国債需要は増える
  • 実際、中国が米国債売却を初めてからも、米国債金利は下がり続けている。

→海外投資家が米国国債を買わない or 売却しても、その分貯蓄率が増えれば米国内だけで国債発行をまかなえる。ただし...貯蓄率が増えるということは消費が冷え込むということ。

Bernanke’s great monetarist gaffe was based on this idea that saving the banks would save the economy which would save the private sector. But that has been proven entirely false as Bernanke’s focus on saving the banks has actually translated into very little private sector good. Without a steep acceleration in borrowing I would argue that Mr. Bernanke has failed entirely. Hence, his frustrating battle with disinflation (and risk of deflation).

  • 銀行救済は経済を救い、ひいては民間部門を救うというのがバーナンキ議長の考えであった。
  • 確かに銀行は救済できたかもしれないが、民間部門を救うという仮説については完全に外れ→貯蓄率増える=消費減る
  • 民間の借入が急増しない限り、バーナンキ議長の考えは完全に失敗することであろう。
  • つまり、ディスインフレーションとの戦いに負けるということであり、デフレ突入のリスクが高まるわけである。

次は、国債はバブルか? というお話。

  • 今の国債市場をNASDAQバブルと比較している人がいる。
  • だがこれはそもそも比較として公正ではない。
  • NASDAQは峠から90%下落した。
  • だが米国10年債を2.5%で満期まで保有すれば、元金保証でしかも多少の利息がつく。
  • 仮にインフレ率が5%まで急上昇すれば、実質ベースで年間2.5%損はするかもしれない。
  • これは投資として勝ち組ではないが、大負けとも言えない。
  • 米国債投資が12ヶ月で最も下落したのは1926年の-9.2%
  • 株式投資が12ヶ月で最も下落したのは1932年の-67.6%

When it comes to this whole debate the most important factor is the mere reality of our economic plight. As we all know by now, we are currently confronted with the threat of deflation, 9.5% unemployment, 74.8% capacity utilization, falling home prices, durable goods orders that are more than 20% from their peak levels, rising unemployment claims, equity prices that are 30% from their peak and high historical private sector debt levels. When your options are 0% cash, unstable real estate and equity in what appears like a weak economy that 2.6% government bond doesn’t sound so bad. Perhaps not the best bet in the world, but irrational? Certainly not.

  • 失業率9.5%&失業申請件数は増加中
  • 設備稼働率74.8%
  • 住宅価格下落中
  • 耐久消費財受注は最高時から20%下落
  • 株式市場は最高時から30%下落し、民間部門の負債比率は過去最高

こんなデフレ寸前の中で、投資先は何があるか?

  • a) 利息ゼロの現金保
  • b) 住宅
  • c) 株式
  • d) 2.6%の10年国債

→d)国債は最善とは思えないが、悪い選択でもない。少なくとも「バブルの定義」に当てはまる状況ではない。

感想

明日以降書く。