住宅ローン金利はどこまで下がる? 金利下げれば住宅市場は回復する?
Marketwatch: If mortgage rates plunged to zero
→住宅ローン金利がさらに低下して「ゼロ」になるか?
Fedがさらなる金融緩和を示唆したので、住宅ローン金利はさらに低下する可能性がある。現在、米国の30年固定は4.3%程度なっている。(後述) ではどこまで下がるのか? ゼロにはなるか?
残念ながらゼロ金利住宅ローンがでてくる可能性はなさそうだ。ゼロ金利ローンだと、そのローンに出資する貸手が利益を得ることができない。だが、FedがMBS買取を再開すれば、さらに住宅ローン金利が下がる可能性はある。
現実は...
boston.comの10月4日記事: Why monetary policy can't revive housing(金融政策は住宅市場を回復できない)では、住宅ローンの「現実」が解説されている。
金融危機前は、頭金30%を詰めばFICO(信用度)がどんなに悪くても住宅ローンを組めたし、低FICOによる金利上乗せはなかった。
だが、現在は
- 頭金30%を積んでも、最低金利ローンを得られるのはFICO 740以上のみ。
- 頭金30%を積んでも、FICO 640なら金利上乗せ0.5%〜0.625%。
- FICO 600以下の人は、Fannie/Freddieのローンを組ませてもらえない。FHAではFICO 520以上で組めることになっているが、ほとんどはFICO 620以上。
→FICO 740で頭金30%積める人は、現在市場に出回っている売り物件の数に比べると圧倒的に少ないはず。FICOは信用度を偏差値化したものなので、740ということは信用度偏差値74だと思ってよかろう。
加えて、貸手側も慎重になっている。上記信用度に加え
- LTV(Loan to property Value)比引き下げ。かつては物件価格以上に貸していたのに(笑
- 書類審査の厳格化。
- 物件価格評価の下方バイアス。かつては高めに評価したのが、今は低めに評価されるのが普通。
このような条件下でいくら金利を下げても、住宅市場は回復しないだろうというのがboston.com記事の指摘。
- かつて存在したプライベートMBS市場は崩壊して存在しない。Fannie/Freddieの保証がないとローンを組めないのが現実。
- そのFannie/Freddieは以前より厳しい基準を引いているが、金融機関側はさらに厳格な基準(上述)を適用。
- CountryWideやWaMuなき今、住宅ローン市場はWells, Chase, Bank of Americaなどの大手が寡占している。(競争が働かない)
- Fannie/Freddieは再建途上にあり、利益最大化が優先されている。
ローンを組める条件が厳しくなっているので、二つの「潜在的住宅購入層」が犠牲になっている。一つは自営業。もう一つは転売目的の住宅投資家。後者は大量のForeclosure物件を消化するのには必須の層だが、資金が入らなければ買うこともできない。