諸外国が米国国債大量保有者、という誤解

日本は国債のほとんどが国内消化されているけど、アメリカは諸外国に借りているからもう駄目だ、という説は実は正しくないよね、というお話ですよ。

CNBC: The Biggest Holders of US Government Debt

→米国国債保有団体上位15

  • 15位...台湾: 1,302億ドル
  • 14位...香港: 1,378億ドル
  • 13位...カリブ海の銀行(租税回避地の銀行): 1,591億ドル
  • 12位...ブラジル: 1,650億ドル
  • 11位...原油輸出諸国*1: 2,266億ドル
  • 10位...生保・損保各社: 2,606億ドル
  • 9位...預金機関(銀行とか貯蓄貸付組合とか): 2,737億ドル
  • 8位...大英帝国: 4,484億ドル
  • 7位...米国各州・自治体: 5,347億ドル
  • 6位...米国内年金運用団体: 6,438億ドル
  • 5位...投資信託等(Mutual Fund): 6,486億ドル
  • 4位...日本国: 8,366億ドル
  • 3位...中国: 8,684億ドル
  • 2位...その他投資家: 1兆2660億ドル

この「その他」には「個人」「政府支援企業体」「個人信託」「記名式国債」「企業」などなどが含まれる。要は「その他」。この「その他」区分は2007年以降で4倍に増えている。個人が買いに回っていると思われる。

そして輝ける第一位は...

  • 1位...FRBおよび政府内保有: 5兆3450億ドル

Fedは金融政策で買うだけだろうけど、この「政府内保有」ってのはよくわからんね。まあ、最終的には米国納税者にツケが回るのだろうけど。外国の国債保有は少ないとは言えないが、米国内保有が主力だというのもこれらの数字から理解できる。1, 2, 5, 6, 7, 9, 10は米国内だから。

ということで、「日本や中国が米国債買わなくなったらアメリカは終わり」という説は根拠ないんだよね...

*1:Ecuador, Venezuela, Indonesia, Bahrain, Iran, Iraq, Kuwait, Oman, Qatar, Saudi Arabia, the United Arab Emirates, Algeria, Gabon, Libya, and Nigeria