ランディスの検査結果を自然現象で説明する学者

SupportFloyd.comなるサイトを発見。その8月23日付情報に興味を持ったので、例によって無断翻訳。面倒な人はまとめをどうぞ。

確率はわからないが、自然現象の可能性はある
自転車乗りであり、そして自転車レースが好きなため、私はTour de Franceと、フロイドランディスがドーピングテストで陽性と判断されてからのことを見守ってきた。この記事を書く理由は、各メディアでの記事やそこに寄せられる読者の意見の中に、私と同じ視点を持ったものがまだないからだ。自転車競技のルールで保証された弁明期間が過ぎるまで、私はフロイドランディスの無実を信じる立場を取る。そして、私は各メディアで報道されているフロイドランディスのドーピング検査結果が自然現象で説明できると考えている。

私は科学者であり、テストステロンに関する学術文献を常に読んでいるほうだと思っている。というのも私の専門分野は前立腺癌であり、テストステロンやその仲間のステロイドホルモン類が前立腺癌の治療や進行に深く関わっているからである。私から見ると、フロイドランディスが合法的に治療で使用していたコルチゾンが、今回の事件で重要な鍵になっている。テストステロンもコルチゾンもステロイドホルモンであり、とても化学構造が似ている。体外から薬物として摂取する場合、どちらのホルモンも似たような材料を使っているため、炭素同位体比率は同等になる。この比率は人間の体内で生成されるホルモンとは異る値である。従って、今回の事件で鍵となるのは『フロイドランディスの体内において、合法的に摂取したステロイドホルモンであるコルチゾンがテストステロンに変化することはあるか?』ということになる。

コルチゾンは糖質コルチコイトに属するステロイドホルモンで、テストステロンは男性ホルモンに属するステロイドホルモンである。私達の体内には、あるステロイドホルモンを他のステロイドホルモンに変換する酵素がたくさんあるけれど、糖質コルチコイドが男性ホルモンに変化するような人はまずいない。ただし、コルチゾンが他のステロイドホルモンに変換される過程は個人個人で異るという論文が報告されている。それによれば、コルチゾンが他のステロイドホルモンに変換される工程は、疾病によって変化するらしい。例えば、前立腺癌により、コルチゾン代謝が変化したという報告がある。

また、私達の身体にはたくさんのバクテリアが住んでいる。腸内バクテリアにより、健康な人の体内で糖質コルチコイドが男性ホルモンに変化するという実証結果もある。糖質コルチコイドのバクテリア代謝物が尿の中に分泌されるということを報告した文献もある。従って、フロイドランディスが当初主張していた、ドーピング検査陽性反応は自然現象によるものであるという話の証明は、彼が摂取していたコルチゾンが体内酵素バクテリアかによってテストステロンに変化したということを再現すればよい、ということになる。ただし、コルチゾンがテストステロンに変化する可能性については、集団に対する実験が行われていないため、まだ結論がでていない。したがって、フロイドのテスト結果を自然現象によるものだと結論づけることはできない。

もし私がフロイドであり無実であるのなら、以下のことを実施するであろう。 (1) USADAにしても、CAS(スポーツ裁定裁判所)にしても、現在規定されているドーピング検査に不具合があることはまず認めないであろうという現実を直視し、 (2) 有能な医師や学者を雇い、ドーピング検査結果の原因を正確に分析し、 (3) 股関節手術に際して抗生物質を使う前に腸内バクテリア標本を保存しておく。 がんばれフロイド。懐疑論者達が間違っていることを君が証明してくることを祈ってるよ。

Paul Marker, Ph.D
Minneapolis, MN, USA
Monday, August 14, 2006