事務方は企業における公務員

日本でシステム開発をしていた頃から疑問に思っていたのが、いわゆる「事務方」の人たちの存在。そりゃ、雑多な(時に膨大な)事務手続きを支えてくれている人達だから、当然必要な存在だ。

でも開発の現場は常に生産性を上げろだのコストをカットしろだのとプレッシャーをかけられているのに、事務方達からはやたらと「通達」なるものが降ってくる現実には到底納得いかなかった。

そしてその通達は、生産性を落とすことはあれども、生産性を上げることには全くつながらない。こうして現場でのルールががんじがらめになっていき、やがて生産性の低下が目に見えてくると再び事務方から「生産性を上げろ〜」と声がかかり、お客さんからは「もっと値段下げてよ〜」とプレッシャーがかかる。この繰り返し。でも開発現場の原価にはこういう事務方さんのコストも含まれているから、値下げ余地はだんだん減ってくる。間接コストというやつね。

言うまでもなく、企業での付加価値は現場が生み出す。その現場の生産性が悪くならないように支える人達が必要なのもわかる。なので、事務方にこういった仕事を依頼し、彼らの人件費は現場が負担する、というのも理解できる。一種の税金だね。つまり事務方は公務員みたいなもんだ。

こうモデル化すると、いろいろ説明がつく。公務員は効率を求められない。むしろ自分が与えられた責任範囲を全うする事に専念しちゃう。経理の人は経理しかみないし、人事の人は人事しか見ない。会社が小さいうちはそれで十分だろうけど、大きくなってくると会計だの財務だの労務だの知財だのどんどん事務方が増えてくる。そういう人たちが全体の効率を考えずに次々と現場を規制しようとする。本末転倒。

この上で日本版SOX法なんてのが動き出したら、もう現場の人間は一揆起こすしかないと思うよ。会社の中で、ヘルメットかぶって覆面した現場社員が本社事務方を襲うわけよ。で、ゲバ棒でボコボコにしちゃう。

まじめな話

その事務方さん達にも当然言い分はあって、そもそも管轄省庁がいろいろ出してくる規制や通達をクリアするためには、事務方さん達が踏ん張らなければならないわけで。でも、日本の社会は規制が大好き。どこかの企業で問題が起きると、マスコミがわ〜っと騒いで、新しいルールが増えて、事務方が仕事増やして、現場はいっそう腐る。この繰り返し。

まあ、一個ルールを決めれば、その番人となる雇用がたーくさん確保できるんだから、便利といえば便利だわな。でも、企業の競争力は確実に弱まっていく。Googleみて「向こう側はすごいな〜」なんていってる場合じゃない。まずはこっち側が泥沼に落ちていく状況を認識するべきだ。