ドーピングの弊害

VelonewsのAsk the Doctor: The medical risks of dopingが興味深い。Joseph Papp選手へのインタビュー。彼は最終的にはトルコでのレースでドーピングチェックにひっかかり2年間の出場停止処分を受けているわけだけど、もう自転車競技に戻る気はないらしい。その代わり、これまでのドーピング体験をいろいろと公表している。VelonewsではEPOとワーファリンの同時摂取の話をしている。

  • チームの指示でヘマクリット値が58になるまでEPOを投与された
  • 血が濃すぎて血栓ができる可能性が高くなったので、血栓防止剤(ワーファリン)を投与された
  • そんな状態でレースに出て、コケた。
  • 外傷はたいしたことがなかったので、家まで自走して帰った。
  • その頃になって、止まらなくなった内出血が血腫と化し左足が麻痺。病院に担ぎ込まれる。
  • 血腫の容量はなんと1200ml。医師は自転車乗りと知っただけで、何が背後にあるのか悟ったそうな。(ちなみにイタリアの病院)

感想

ちょっと極端な例かな、という気はする。ヘマトクリット58なんてのは尋常じゃない[*1]し、そこに対症療法的にワーファリンを与えるというのは安易すぎる。(記事で聞き手も書いているが)血を抜くのが妥当だったはず。→Operacion Puertoで血液パックがゴロゴロしていたのは、このあたりにも理由があるはず。

また、Papp選手はEPO+ワーファリン事件以外にもステロイド過剰摂取による副腎機能障害を起こしている。そんな状態までになってしまうのは、アメリカ合衆国選手のライセンスのまま、ヨーロッパやアジアでレースしていた、という背景があるのでは。これだと、USADAによる競技外検査(Out of Competition Test)を受けることがないから。