Unintended Consequences:予期しない結果(2)
Unintended Consequences:予期しない結果で紹介した
(4) この救済策の副作用で、流動性はさらに枯渇するという指摘→http://www.nakedcapitalism.com/2008/10/bailout-bill-to-make-money-market.html および http://www.nakedcapitalism.com/2008/10/more-discussion-of-why-bailout-bill.html
が現実になってきたみたい。LIBORはどんどん上昇している。
Naked Capitalism: "Are Central Banks Making Libor WORSE?"(中央銀行のせいで、さらにひどくなってない?)
- 信用収縮で銀行間の貸し渋りが悪化した→LIBOR上昇
- そこで中央銀行は各銀行に直接流動性を供給するようになった。
- 結果、銀行間での貸し借りはますます減ってしまった。
- これにより、LIBORは実体を反映しない高い数値となってしまった。
LIBORは各種ローンの金利設定の基本となっているので、LIBORが高止まりする状態は実体経済にとってはよろしくない。中央銀行は金融機関に救いの手を差し伸べて、実体経済をどんどん痛めつけているわけだ。
システム屋の視点
美しく完璧に見えるカプセル化されたコードの一部をちょっとだけ書き換える、という行為ですらシステム屋は「ちょっと怖いな」と思うし、まずはテスト環境で検証するはず。
これがグローバル変数だらけでモジュール化の微塵も感じられないmonolithicでmutual stateなコードなど、怖くてさわれない。影響範囲を机上で検証しようにも、検証対象件数はあっという間に発散してしまう。
経済は明らかに後者に属するシステムであり、どこかを触れば必ず予期しない副作用がある、と思ったほうがよい。しかもテスト環境など存在しない。そういうシステムを政治家や中央銀行の人達に委ねているというのは、実にリスクの高い選択なのだな、と安冨歩の本を読み終えてからつくづく思うのであった。
複雑さを生きる―やわらかな制御 (フォーラム共通知をひらく)
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生きるための経済学 〈選択の自由〉からの脱却 (NHKブックス)
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