銀行を信用するな...Nassim Taleb


Nassim:

リスクをとっている銀行を信用できないのなら...いいですか、自分達は今ものすごく不思議な状況におかれているんですよ。
資本主義と社会主義の最悪の組み合わせ、とでも言いましょうか。
つまり...利益は私有化され、損失は社会で負担するわけです。
...最悪でしょ? 
最悪な部分が納税者に押し付けられているわけですよ。
だったら、こうしましょう。
救済が必要な銀行達については、国有化しちゃう。
ただし、我々納税者はリスクを負いたくない。
なので、国有化する銀行についてはリスクを負うような活動は禁止しちゃう。
一方で、いくらでもリスクを負っていい企業体も残す。
これらについては、納税者は決して救済しない。
二つに分けることです。
こうでもしなきゃ、だめでしょう。

聞き手:

二種類に分けるという話はわかりましたが、それが金融安定化にどうつながるのか説明してください。
リーマンブラザーズは救済されませんでしたし、金融機関としては第一級ではなかったわけですが、結果的には(救済しないことによる)システム的リスクが明確になったわけです。
リーマンは我々が今直面している問題そのものとも言えます。

Nassim:

このまま銀行にお金を与え続けていたらどうなるかを考えてみましょう。
救済資金を与えた銀行が何をしたのか覚えてますよね。
多額なボーナスを支給し、リスクをとった上に、さらに損失を拡大したわけです。
メリルリンチの例を見てもわかるように、我々納税者はメリルがより損を出せるようにお金を払ったに過ぎないのです。
しかもメリルの皆さんはちゃっかりボーナスまでもらってる。
この悪循環を止めるには、我々納税者が銀行を保有するしかない。
そして、銀行に対しどんな商売をすればよいのか指示するしかない。

聞き手:

ヨーロッパには国有化された企業がたくさんありますよね?
そして、それらの多くは官僚的で、効率的ではありません。
銀行を国有化しても同じようなことになるだけでは?

Nassim:

銀行というのは既に官僚的であり、効率的ではないのです。
私の本「ブラックスワン」に書いたとおりです。