投資と負債は違うよ(2)
売り切れました: そりゃ投資と負債は違う
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1億円かけてシステムつくれば1億の投資。
運用保守に年間1500万円で耐用年数5年なら7500万の負債。
システム導入は投資の結果として負債が手元に残る。
だから導入による効用は投資額+負債総額を上回るように計画しなくてはならない。
- 開発費1億円のシステムを5%で5年かけて償却していくと、月額212万7135円
- 運用保守費年間1500万円=月額125万円
- つまり、このシステム投資は月当たり337万7135円以上の付加価値を生まないと「投資に見合った収益がでない」、ということになる。
- まあ、普通なら「月に400万円の付加価値を生むシステムを作ろう。そのための投資は月に337万7135円だから、毎月63万円弱の利益が出る」と判断するから、投資に踏み切れるわけで。
- で、その開発費分は積んでおく必要があるが、一方で利益を生むシステムという資産も立つわけ。
- 月々の運用保守費はシステムが生み出す付加価値から捻出すればいい。
- なので「システム導入は投資の結果として負債が手元に残る。」ということはない。
- もし、「システム導入は投資の結果として負債が手元に残る。」ような投資判断をしたとすれば、その経営者は馬鹿か、経営センスがないか、あるいはその両方であろう。
- そういうところでは働くべきではないし、そういう所からの仕事も請けるべきではない。
高生産性・高品質な開発者に高い金を払う意味
- もう一度上記例を見てみよう。
- この投資で「月に400万円の付加価値を生むシステムを作る」わけだ。
- なので稼動開始は早ければ早いほど良い。それだけ多くの付加価値が得られる。一ヶ月早めれば400万円。半年なら2400万円。
- もし、その案件が「新規市場開拓」なら、競合他社より先に稼動開始させる意味はもっと大きい。後発組はシステム投資の他に、宣伝広告などで大枚はたく必要がでてくる。下手したら、システム投資の倍以上かかる。
- また、この開発者達が「高品質でトラブルが少なく、しかも保守性も高い」納品をしてくれたことで、上記例の運用保守費が年間1000万円まで減ったとしよう。月額83.3万円。開発費とあわせて、月に296万円。
- 月に400万の付加価値を生むシステムなので、利益は104万円に増える。
- 一方で、開発費を20%上乗せして1.2億円にしても、月々の利益は当初の63万円弱とほとんど変わらない61万円。
- 「より短期間で付加価値を生み出す仕組みを実現してくれて」「月々の利益は当初目標を達成できる」のなら、これらの開発者に対して1.2倍の報酬を出す価値はある。
- そして、開発者達はその増加分を誇りをもって受け取るべきである。
おまけ: Agileだと...
- Agileだと、「何はともあれキャッシュフロー」みたいなフィーチャから着手し、まずそこから稼動させるような芸当が可能になる。*1
- 例えば「ウォーターフォール開発だと1年後から400万円の付加価値実現」としよう。
- これに対し「3ヵ月後から付加価値200万円実現」「半年後から300万円に増加」「一年後フル稼働で400万円実現」というようなAgile開発をすると、200*9+300*6=3600万円だけ、ウォーターフォールより付加価値が高くなる。
- その分の高い報酬をAgile技術者達に払う価値はある。
- そして、Agile開発者達はその増加分を誇りをもって受け取るべきである。
- Agile計画づくりについては下記書籍を読もう!
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