経済的不可能性
- なんかもうDubai Worldの件は解決済みっていう雰囲気だけど、自分はまだしっくりこないんだよね。
Minyanville: Dubai's Shot To The Moon
- 費用対効果を考えなければ不可能はない。
- 月に人を送り込むことも可能だし、砂漠の中に超高層ビルやら屋内スキー場を建造することも可能。(())
- だが、「投資案件」となった瞬間、経済的不可能性が生じる。
- 旗艦プロジェクトの高層ビルBurj Dubaiの建設費は41億ドル。
- オフィス部分の価格は43000ドル/平米。住居部分の価格は37500ドル/平米。
- この値段で売り切らなければプロジェクトは赤字になる。プロジェクトに投資した人たちは、期待していたリターンを得られなくなる。
ドバイだけではない
- で、上記Minyanvilleの記事は「なぜドバイプロジェクトはこんなに高いものになったのか」を説明している。
- 要は低金利で金が余っているから。過剰流動性ってやつだ。
- カネ余りはバブルを生み、そのバブルがずっと続くと期待して無理な投資が生まれる。
- そして、そういう案件は世界中にある。
- 同記事が紹介している一つ目の例は中国にある世界最大のショッピングモールNew South China Mallだ。2005年に完成し、2008年時点で入居率0.8%。
- 二つ目は、中国内蒙古にあるOrdos。下記動画をみればわかるけど、立派な街を建設して...誰も住んでない。*1
救済は簡単ではないし、問題を長引かせる
- 今回のドバイ問題ですごく不気味に思ったのは「国が救済して当然」という雰囲気が生まれていること。
- サウジの王子様も心配されている。
- まあ、今回は12月償還の債権だけが対象だから話は簡単かもしれない。
- でも日本のバブル崩壊後の騒動を思い出せばわかるけど、プロジェクト全体における損失額の集計は簡単ではない。
- そして一旦救済を始めると、次から次へと救済対象が増えていく。
- 日本の場合、最初は住専救済で5000億円の税金をぶちこむかどうかで喧々囂々の議論があったのだよ。
- そのうち「兆」という単位でも「あ、そうなの?」と思うようになった。
- そして日本は未だにデフレである。
- もっと早いうちに一気に膿を出していれば、ここまで損失は広がらなかったろうに。
- デフレを政府出動で救済できる、という考えも「経済的不可能」の一つなのかも。
*1:ビデオによれば、これらの家はほとんど売れたそうな。つまり、投資物件。投資で買った家に誰も住んでいないということは...