経済的不可能性

  • なんかもうDubai Worldの件は解決済みっていう雰囲気だけど、自分はまだしっくりこないんだよね。

Minyanville: Dubai's Shot To The Moon

  • 費用対効果を考えなければ不可能はない。
  • 月に人を送り込むことも可能だし、砂漠の中に超高層ビルやら屋内スキー場を建造することも可能。(())
  • だが、「投資案件」となった瞬間、経済的不可能性が生じる。
  • 旗艦プロジェクトの高層ビルBurj Dubaiの建設費は41億ドル。
  • オフィス部分の価格は43000ドル/平米。住居部分の価格は37500ドル/平米。
  • この値段で売り切らなければプロジェクトは赤字になる。プロジェクトに投資した人たちは、期待していたリターンを得られなくなる。

ドバイだけではない

  • で、上記Minyanvilleの記事は「なぜドバイプロジェクトはこんなに高いものになったのか」を説明している。
  • 要は低金利で金が余っているから。過剰流動性ってやつだ。
  • カネ余りはバブルを生み、そのバブルがずっと続くと期待して無理な投資が生まれる。


  • 日本でもあったじゃないですか。箱モノ行政。自分は大阪のWTCが真っ先に思い浮かんだけど、他にもあるでしょ。
  • 民間でもあったよね。高すぎて売れなかったマンション。
  • アメリカの住宅バブルも「経済的不可能性」に到達して、必然的に破綻した、といえる。

救済は簡単ではないし、問題を長引かせる

  • 今回のドバイ問題ですごく不気味に思ったのは「国が救済して当然」という雰囲気が生まれていること。
  • サウジの王子様も心配されている。
  • まあ、今回は12月償還の債権だけが対象だから話は簡単かもしれない。
  • でも日本のバブル崩壊後の騒動を思い出せばわかるけど、プロジェクト全体における損失額の集計は簡単ではない。
  • そして一旦救済を始めると、次から次へと救済対象が増えていく。
  • 日本の場合、最初は住専救済で5000億円の税金をぶちこむかどうかで喧々囂々の議論があったのだよ。
  • そのうち「兆」という単位でも「あ、そうなの?」と思うようになった。
  • そして日本は未だにデフレである。
  • もっと早いうちに一気に膿を出していれば、ここまで損失は広がらなかったろうに。
  • デフレを政府出動で救済できる、という考えも「経済的不可能」の一つなのかも。

*1:ビデオによれば、これらの家はほとんど売れたそうな。つまり、投資物件。投資で買った家に誰も住んでいないということは...