Tesla株と空売り
先月末に公開を果たしたTesla株だが、ぱっと花火みたいに上がったあとズルズルと値を下げている。
ザラ場で$30.42をつけてからほぼ一本調子で下落。今はその高値から半分くらい。大事なことは、公開価格よりも下がっているという事実。
こういう事態になると「空売り筋」が批判されるのが常だけど、Tesla株の場合はそれは成立しない。なぜならTesla株は上場直後で空売りが極めて難しいからだ。こちらに上場直後の空売りに関する解説があるけど、当該株を大量に保有している引受証券会社はIPO直後30日は株を貸し出せないという規定がある。つまり、今のTesla株下落は空売りによるものではなく、現物の人気がないためと思ってよい。
誰のためのIPO?
上場直前、TechCrunchがTeslaに関する興味深い記事を出していた。それによれば今回IPOされたTesla株の出所は
- Elon Musk(CEO)...909,212 株
- VantagePoint Venture Partners...238,748株
- Bay Area Equity Fund...88,586株
- Westly Capital Partners...72,625株
- Compass Venture Partners...22,931株
と、上位には出資者が連なっている。そして...
Tesla itself won’t make any additional money from the bump in shares, but more shares will be available to the public.
→運転資金が必要なTesla社自身は、IPOでは一円も入ってこない。あくまでも帳簿上の株価が上昇しただけ。
ここで疑問にあがってくるのはTesla上場の意義である。上場で資金調達し、次期Sモデル開発生産のための環境を整えるのが本来の目的ではなかったか。起業というリスクを背負った人たちがその報償を得ることについては問題ないし、借金まみれだったCEOがIPOで一気に返済することには何の問題もなかろう。
だが、Teslaに投資する人たちはTeslaの将来を買おうとしているわけである。その会社自身に上場資金が入ってこないのなら、そりゃ投資家はそっぽむくわな。