円高に感謝...
CRが紹介していたWSJのRoads to Ruin: Towns Rip Up the Pavementという記事はリフレ派に是非読んでいただきたい記事である。税収不足で予算が足らない地方自治体が、舗装路の維持を諦めて砂利道に戻す事例が増えているという内容で、まずは人口の少ない田舎でこの傾向が強まっている。
- ノースダコタ州のStutsman郡では、舗装路のアスファルトを粉砕するためにキャタピラ社のRM300を購入。一台40万ドル。舗装路の維持はRM300よりもはるかに金がかかるということだ。
- ミシガン州83郡のうち、少なくとも38郡が昨年度にアスファルトから砂利道への転換を開始。
- サウスダコタ州は昨年度100マイル(160km)の舗装路を砂利道に転換。
- アラバマやペンシルバニア州でも同様の動きが見られる。
- もちろん、沿線住民は怒っている。だが、舗装路維持予算確保のための増税にも反対しているのが現実。
- 舗装路維持に必要なアスファルト価格は過去10年で二倍になっている。
→これは2000年ネットバブル崩壊以後米国が一環して採用してきたリフレーション政策の副作用と言えるだろう。通貨を切り下げれば一時的に輸出ドライブはかかるかもしれないが、一方で購買力も低下するので道路基盤のようなインフラ維持のための原価も上昇する。そして、その原価値上がり分を消費者に転嫁できない以上、消費(ここでは道路舗装維持)も生まれない。すなわちリフレーションなる現象に期待するのはムダなのである。
日本はバブル崩壊以後、長い長い不況に落ち込んでいるが円高であるために輸入原材料価格についてはそれほど苦労しないで済んできた。円高のおかげで田舎の誰も通らないような農道まできれいな舗装路を整備することができたのだ。円高に感謝しよう。