寒い冬がくる

この週末、米国はLabor Dayで三連休。この休みを過ぎると、もう気分は秋。ハロウィーンが来て、感謝祭があって、クリスマス。

だが今年は中間選挙。投票まであと8週間。二ヶ月しかないのだ。

NYT: On Economy, Democrats Face a Lack of Unity and Time(民主党経済政策には結集力も時間も足らない)

オバマ政権の危機を解説した記事。

  • 金曜の雇用統計は「思ったほど悪くはなかった」という程度で、現実には回復から程遠い。
  • オバマ大統領は来週の水曜、景気てこ入れ政策を発表する。予想されるのは若干の減税や、小規模事業者の雇用支援など。
  • ただし、共和党は全力で反対してくるであろう。
  • 選挙期間を考えると、オバマ大統領の要請に応えるには議会は三〜四週間で追加景気刺激策を決める必要がある。非常に厳しい。*1
  • 民主党内部も割れている。特にブッシュ前政権の置き土産である「所得上位2%層に対する減税措置の打ち切り」を巡って真っ二つ。
  • また、現政権の経済政策を批判するだけで良い共和党候補達に比べると、民主党は立場が弱い。民主党議員の多くはオバマ政権の実施した経済政策を賞賛しているが、一方で距離を置いている民主党候補達も存在する。
  • そもそものオバマ政権中枢でも、意見がまとまってない。分かりやすい経済政策提言は出ていないし、オバマ大統領/Nancy Pelosi下院議長と上院リーダーのHarry Reidとの間にも微妙な溝がある。来週発表すると予想されるオバマ減税案は、この春から議論されているがReid議員側が合意していない状態。
  • 財政出動追加は共和党が反対するので、民主側の選択肢は限られる。緊縮はありえないので、減税に頼らざるを得ない。その減税も色々寄せて集めて350億ドル。これはブッシュ置き土産の「所得上位2%層に対する減税措置」と同程度。だったら、ブッシュ減税を延長すればいいじゃん、と共和党は騒ぐだろうし、それに追随する民主議員もでてくる。実際、ここを片付けない限りは共和党はかたっぱしから民主法案を潰してくるはず。

→「たった2%の人のために、全米98%の人々の意志を曲げるのか」と怒りたくもなるが、議会制度なんてそんなもの。リベラルな自分には残念ではあるが、この秋の選挙は共和党が勝つだろうし、民主の中でも生き残るのは右寄り路線の人達に限られるだろう。日本の政治家さんたちはその後に起きる変化への準備はできているのだろうか。

*1:米国大統領は法案を決める権限を持ってない。「こういう法案を作ってね」と議会に要請し、可決されてきた案を承認するか「だめだこりゃ」と拒否権行使するのが通常の流れ