Proposition 87に見る民主主義(っぽいもの)

本日投票の選挙では、カリフォルニア州知事に対する信任よりも、Proposition 87(州政策案87番)に関する賛否が注目される。Proposition 87とは、こんなものだ。ソースはSmart Voterというサイト。

要旨

カリフォルニア州は、代替エネルギー開発、教育、職業訓練などを通して石油消費を25%削減するために予算総額40億ドル(約5000億円)のClean Alternative Energy Program(代替エネルギー開発プログラム)を立ちあげるべきか?

州法務長官によるまとめ

代替エネルギー開発、教育、職業訓練などを通して石油消費を削減する総額40億ドルのプログラム。資金は、カリフォルニア州の石油開発企業から捻出する。

立法専門家による州予算への影響分析

州の石油税収入は、現在の年間2億2250万ドルから4億8500万ドルに増え、ここから代替エネルギープログラム用の40億ドルが捻出される。州および地方税の減収は年間数千万ドルに収まる。

この法案に賛成/反対する意味

以下、Prop 87に賛成する側の意見:

Prop 87に投票し、よりクリーンで廉価なエネルギーを開発する資金を石油会社に払わせましょう。石油会社は何十億ドルという資金をアラスカやテキサスの石油掘削に投入していますが、カリフォルニアにはほとんど投資していません。Prop 87は、石油会社に資金を負担させ、それを消費者に転嫁させることは違法としています。

一方反対する側は:

40億ドルの石油税増税! ガソリン価格の上昇。巨大な官僚組織の出現。しかも、結果は問われない。40億ドルかけても、結果は問われていないのですよ。石油税を学校教育に使うことは否定されています。代替エネルギーは確かに必要です。でも、Prop 87は正しい選択ではありません。カリフォルニア納税者の皆さん。Prop 87に反対しましょう。

ぱっと見ると、アメリカの選挙は直接民主主義っぽく見える。法案の可否を住民に問うわけだから。

でもちょっと考えればわかることだけど、石油会社に対して増税をかけたら、その分は消費者に転嫁されるのは確実なわけですよ。なので、この法案は環境保護の皮をかぶった増税策でしかない。日本でもあったでしょ...ゴミ袋に課金するってやつ。あの類ね。かといって、今のガソリン依存体質を改善しなければ、将来の負担増加は確実。どっちもどっち、というやつ。

むしろ、総額40億ドルという利権が発生することに注目したい。当然、そこに群がる勢力が生まれてくる。その利権構造確立に反対できるという意味では、直接民主主義ってのはすごい。でも、選択肢はゴミがクズかを選べというようなもの。これでは投票する気になれない人がいるのも理解できる。