補助金ないと生きていけない? 太陽電池Solyndraの苦悩

高速880号のFremontに派手な工場を建てていた太陽電池製造Solyndra社。こちらの写真にもあるけど、ターミネーター知事やオバマ大統領が訪問した企業でもあるのだ。円筒形の太陽電池が売り物。

San Jose Mercury: Fremont solar panel maker Solyndra scales back expansion plans

→そのSolyndraが、Fremont市の第二工場建設を中止し、求人も停止。その上で首切りを始める、というお話。

  • 予定ではさらに1000名採用するはずだったが、中止。
  • 880号Fremont沿いにある工場は存続。別途建設していた第二工場は閉鎖。
  • 稼働を続けるFremont工場でも、向こう数週間にわたって155〜175人を解雇。主に契約社員からで、正規社員の首切りは20〜40人程度。

事業縮小の表向き理由は中国や米国における太陽電池の競合激化だというが...

そもそもSolyndraは2009年9月にオバマ政権の「グリーン政策」の一貫で連邦政府から(つまりは納税者から)5億3500万ドルの融資を受けることになっていた。そして2009年12月には3億ドル規模のIPOを申請。2010年5月にオバマ大統領自身がSolyndra工場を訪問し、同社は一躍有名になったわけだが...

直後にSolyndraはIPOを中止し、CEOは辞任。こうしたドタバタやSolyndraの技術が「実証されていない」という理由で、連邦政府からの5億3500万ドル融資にも黄信号が点滅。結果、工場閉鎖や人員削減、と。大量生産による低価格化ではなく、コスト削減による低価格化に走っているあたり、いかにも厳しい...

オバマ政権は「グリーン政策で雇用拡大」と訴えていたが、大丈夫かね? 補助金ミルク補給を続けないと雇用を生み出せないのなら、公共事業の穴掘りと大差ないわな。

追記

5億3500万ドルの融資はすでに実行されていたのね。Zerohedge 2010年7月2日: Ford, Tesla and Solyndra - Good News or Bunk?には、この4月二回に分けて政府保証ローン2.4%で5.8億ドル実行、と報じられている。

一方地元局ABC Bay AreaはSolyndra's shiny new plant cost $733 million -- $535 million came from federal funds. Only $198 million is for private financing, so the government's stake is 73 percent.という記事で、この政府保証ローンの大半が新工場建設に使われたことを伝えている。

Solyndra's shiny new plant cost $733 million -- $535 million came from federal funds. Only $198 million is for private financing, so the government's stake is 73 percent.

→高速880号沿いのあの派手な建物は7.33億ドルの費用がかかっている。ざっと590億円。うち、5.35億ドルは政府保証ローンから。残りの1.98億ドルが民間出資。つまり、あの建物の73%は国有。

仮にSolyndraが政府保証ローン返済でデフォルトしたら...我らが連邦政府があの工場と敷地を手に入れることになるのだそうだ。めでたしめでたし。

真面目な話...仮に政府がジャブジャブと金を貸さなかったら、Solyndraはもっと真剣に旧工場での生産拡大を検討していたんじゃないかね。それがあぶく銭手に入れたから投資対効果度外視で豪華な工場を建ててしまった、と。Solyndraの新規雇用2000人という話はTOYOTANUMMI撤退で失業した4000人の半分を吸収するはずだったのに、それが1000人に減ってしまった。笑っているのは新工場建設に関わった建築業者くらいではないの?

そして、7.33億ドルという豪華な新工場。590億円ということは、シャープの亀山第二工場と同じくらいの価格。高速880号そばのド派手な工場だけど、590億円もかかっているのかというと... 部外者にはわかりませんな。建設開始が2009年末で、もう7.33億ドル使いきってしまったなんて素晴らしすぎます。