残業代ゼロ法案の議論をする前に、新卒採用と終身雇用をやめてしまおう

改正労働基準法 裁量労働制編

日本版白襟職例外(ホワイトカラーエグゼンプション)は、すごく頭の悪そうな人たち[*1]によって「残業代ゼロ法案」と名前を変えられて、えらく評判が悪い。結局法案提出は見送りとなってしまった。法案の目指すところは悪いことだとは思わないけど、今の日本の労働慣習のもとでは厳しいだろうね。
システム開発業界では、随分前から裁量労働制度が普通になっているのではないかな。生産性の低い人(遅くまでだらだら仕事をして成果物が少ない)が、生産性の高い人(短時間で成果を出してとっとと帰る)よりも多くの報酬を得るというのは、どう考えても理屈に合わない。

とはいうものの、どんなに優秀でも仕事をこなせないこともあろう。{経営陣|上司|取引先|出入り業者}が{阿呆|馬鹿|無能}なため、無茶な納期や予算を設定された場合である。デスマーチ確定。

日本版白襟職例外(ホワイトカラーエグゼンプション)の思想は「単純労働ではない専門職の世界では、成果を労働時間で評価できない」ということにあるのだけど、今のシステム開発業界にはどう評価しても「プロフェッショナル」とは言えない連中が混じっている。日本で働いていたときなど、「給料は保証するから、頼むから何もしないで朝から夕まで新聞だけ読んでいて!!」と頼みたくなるような人が仕事場にいたし。

専門職が期待される職場に専門職ではない人がいて、仕事に口出しするからややこしくなるわけよ。もちろん、管理職としてのジェネラリストは否定しないよ。ただし、この人達には番頭さんに徹してもらいたい。

じゃあ、専門職じゃない専門職はなぜ存在するのだろう? 

それは新卒採用と終身雇用という日本的雇用習慣にあるんじゃないかなぁ。就職後即戦力となるような研究をしていた学生は別として、ほとんどの場合は企業内OJTで新人を鍛えるでしょ。その指導する人達が専門職もどきなら、若手もやがて専門職もどきになる。鉄は熱いうちに打て、って言ってる人達が腐ってれば、打たれた鉄は腐る。腐っても給料はもらえるし、腐ってるから転職は難しい。ならば組織の中にいて仕事をしているフリを続けるほうがよい。でも腐ってるからトンチンカンな仕事を部下に指揮して、仕事場はさらに腐っていくわけよ。

この悪循環を切るには、中途採用を前提とすることが必須でしょ。

職務経験がない新卒はトレーニー枠で1年ほど丁稚奉公してもらう。それで自分にあった仕事かどうか判断してもらうしかないでしょ。合ってない仕事場で一生を費やすことほど無駄なことはない。

一旦採用されても、単年契約。優秀な人は複数年度契約も可。でも腐ってきたら、申し訳ないけどさようなら。中途採用前提なら転職はそんなに難しくないはず。

ここまでやれば、日本版白襟職例外(ホワイトカラーエグゼンプション)の導入は自然な流れだと思うんだけどね。

*1:某政党のオピニオンページを晒し者にしようとしていたのだけど、404 Not Foundになってしまった。さすがに自分たちの馬鹿さ加減に気づいたのか?