小手先対策

CNNより。

Rate freeze plan for ARMs gains traction

日本の報道だと「サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)」と一括りにされているけれど、問題な不動産融資は二種類ある。

ARMは日本でいう「ゆとり返済」。最初の数年は低金利で返済し、一定期間後に金利見直し(リセット)が発生する、というやつ。その金利見直しを一時凍結しよう、という合意が米国金融機関でまとまりつつあるらしい。

支払い不能に陥って持ち家が競売にかけられるよりは、その世帯が払える範囲でコツコツ返済してもらう方が良い、という判断なのであろう。

でも、このような小手先対策をすると景気後退と一層の不動産価格下落は確実。

  • 貸手側は、貸し倒れに伴う損失を計上する必要はなくなるけれど、利益率を下げる必要が出てくる。
    • 本来なら10%で27年返済してもらうはずだったのが、4%で85年、みたいな商売になってしまう。
    • 債権を転売しようにも、担保価値が下がっているから売れない。か、損失確定で売り切るか。
  • 借り手側もしんどい生活が続く
    • 頭金を多めに払うなどして支払いに余裕がある人は、固定金利で借り換えている。
    • 一方で、「逆償却ARM(当初数年の支払いが極度に小さいARM)」の人は持ち家価値下落+返済残増加のダブルパンチ
    • 当たり前だけど、逆償却金利で借り続けていたら返済残は増えるだけ(どーするの?)

日本の土地バブル崩壊時と状況は同じ。

  • 貸手は引当金をどんどん増やさないといけないから、貸出に慎重になる。
  • 借手は消費に回すお金が減る。

そういう政策なのに、株価は上がっちゃうし、円は落ちちゃうし(まあ、キャリートレードなんだろうけど)、この先の反動が怖いね。